Time's up

□No.3 あれから4年…いや、5年経った
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『………誰』


「あぁ、これは失礼したね」


その男は小さく微笑むと


「私は調査兵団の分隊長を務めている、エルヴィン・スミスだ」


宜しく、と言って手を差し出して来た


が、そんな物には目もくれずにミラはただジッと睨んでいた


『…………』


…ポケットには短刀が入っている


この数の相手は初めてでは無いが、いつもの奴らよりは数倍できるだろう


そんな事を考えながら、一歩前に進む


すると同時にエルヴィンの部下も体勢に入り、剣に触れる


「……待て」


『…………』


「大丈夫だ。別に君を傷つける為に来たわけではない。私達は勧誘に来ただけだ」


『……勧誘?』













「調査兵団に入らないか?」


『……は?』


ミラは眉間にシワを寄せる


この男は急に何を言ってんだ…?


『…いきなりなんなの』


「そのままの意味だ」


『…………』


エルヴィンはミラをジッと見つめたまま、たんたんと答える


「君の噂は聞いていてね。地下街に最近とても強い女の子がいる、と」


『…………』


「我々調査兵団には強い人材が喉から手が出るほど必要だ。そこで、君を勧誘しに来た訳だ」


『…………調査兵団、ね…』


名前は知っている


壁外に出て巨人の餌になりに行っている集団


……まぁ声に出しては言わないが


『断る』


巨人の餌になれって?


そんなもの、まっぴらゴメンだ


『私には人類がどうなろうが関係ない。私には…やる事がある…探さなきゃいけない人がいるから……』


「ーーーっ!!」





“私には探さなきゃならない方がいるんです…!”











だから帰って


そう言ってミラもその場から立ち去ろうとした


その時、











「ナーシー・クライアス」










『ーーーっ!?』


エルヴィンから発せられたその名前に勢い良く振り返る


そして次の瞬間、ミラはエルヴィンとの間合いを一瞬でつめ、ポケットから取り出された短刀をエルヴィンの首すじに当てた


周りもミラにかかろうとするが、エルヴィンに止められる


『…金髪』


……どうして?


…どうして!!


『どうしてその名前を知っている!!!!』


突然大声を上げ、殺気を放つミラに周りは身動きができなかった


エルヴィンも自分を落ちつかせ冷静に言葉を探す


…………一歩間違えると本気で殺される


それくらいミラの気迫は恐ろしかった


『答えろ!!』






「………ナーシー・クライアスは…












調査兵団にいる」







『……え…』










エルヴィンの首すじに当てられていたミラの短刀は力なく地面に落ちた





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