黒バス-short-

□このキセキのような出会いに
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「火神くん。ちょっといいですか?」

「なんか用か?」

「皆さんが火神くんに話があるそうで。」

玄関を開けるとそこにいたのは見慣れたカラフルな集団。

そう、キセキの面々だった。

「とりあえず中入れ。暑いだろ?」

中に招き入れると青峰と黄瀬は騒がしく我が物顔で、紫原はお菓子を食べながら、赤司は静かに、緑間は他のやつの靴を揃えて、黒子は知らぬ間に部屋へと入ってきた。

「すげぇな。ここに一人暮らしか。」

「うわーっ、広いッスねー」

「早く座れよ。」

とりあえず麦茶を淹れてそれを配る。

「で、何の用だ?」

「そう身構えなくていい。僕らは火神に礼が言いたいんだ。」

「礼?」

「あぁ、僕たちにもう一度バスケの楽しさを教えてくれてありがとう。」

赤司の言葉に他のキセキも続ける。

「俺、初めてバスケ楽しいと思えたしー。また戦おうねー」

「ふん、火神のお陰で敗北の悲しさを知ったのだよ。だが、同時に勝利の嬉しさ改めてわかったのだよ。感謝する。」

「俺に勝てるのは俺だけだと思ってたが火神に負けて知った。上には上がいるんだってな。だが、次は負けねぇからな。」

「俺も火神っちにあって初めて悔しさも仲間の大切さも知ったッス。本当にありがとうね。」

そう話すキセキがだんだんと滲んできた。

「火神っち、泣いてるッスか?」

「泣いてねぇ。」

「泣いてるじゃねぇか。」

「泣いてねぇから。」

必死で泣き顔を見られないように涙を拭った。

「火神くん。」

――最後は僕からです。と黒子が口を開いた。

「僕は火神くんにあってまたバスケが楽しくなりました。きっと火神くんがいないと僕は一生バスケが楽しくないもののままでした。僕にもう一度バスケの楽しさを教えてくれてありがとうございます。そしてこんな僕の相棒でいてくれてありがとうございます。」

部屋は暖かい空気で満ち溢れていた。

《こちらこそありがとう。》

その言葉の代わりか涙が溢れて止まらなかった。

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