黒バス-short-

□光が蝕んで
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「皆に僕の気持ちなんてわからない!!」

いつも敬語かつ落ち着いた口調の黒子が声を荒らげて言う。


事の発端は休憩中、黒子の手首にリストカットの跡を見つけたことからだ。

いつもリストバンドで隠していた手首。

間違えてスポドリをリストバンドにこぼしそのリストバンドを取ると手首には幾本もの生々しい傷があった。

「おいッ!! これなんなんだよ?」

「これですか? 昨日、間違えてカッターで切ってしまって……」

「大丈夫なのか?」

「大丈夫です。心配かけたくないんでキャプテンとか監督に言わないでください。」

黒子がそう言って力なく笑った。

その時、

「間違えて切ってこんな傷がつくか。だぁほ。」

「キャプテン!?」

振り向くと怖い顔をした監督とキャプテンが立っていた。

「黒子くん。傷を見せて。」

「大丈夫です。僕は……」

「いいから見せなさい!!」

監督の声はいつも以上に真剣だった。

「日向くん、これって……」

「あぁ、間違えなくリストカットの跡だな。」

「リストカット!?」

何で黒子が自傷行為なんて……。

「黒子くん、説明してくれるわよね?」

「…………」

「黒子くん!!」

「……からない」

「えっ?」

「皆に僕の気持ちなんてわからない!!」



で、現在に至る。

黒子は消えそうで……でも眼光だけが鋭かった。

「黒子くん、落ち着いて!!」

「何で……何で……」

「落ち着けって!!」

「また光が……光が……」

暴れ始める黒子。

その時キャプテンが黒子の首にチョップを入れた。

「ちょっと寝てろ。」

崩れさった黒子をベンチに寝かせてキャプテンは言った。

「大丈夫だ。少ししたら目が覚める。」

「キャプテン……どうする……ですか?」

「とりあえず青峰か黄瀬か緑間呼んでこい。中学の時どうだったのか聞きたい。」

「はい。」




程なくして黄瀬と青峰はやって来た。

緑間のみどこかに用事があるらしく遅れて来るらしい。

「んだよ。急に呼び出しやがって。」

「どうかしたんっスか?」

「実はな……」

経緯を話すと二人とも大きく目を見開いた。

「リストカット!?」

「黒子っちがっスか?」

「あぁ、中学の時はそう言うことあったか?」

二人ともがなかったと言う風に首を横にふる。

その時だった。

「いや、中学の時もやっていたのだよ。」

息を切らせて緑間がやって来た。

「どういうことっスか?緑間っち」

「あいつは青峰が才能を開花させた辺りから何故かリストバンドをするようになっていたのだよ。さっき赤司に連絡を取ったがリストカットしてたのを見つけて注意したこともあったらしい。」

「……赤司以外は誰も気付かなかったのか?チームメイトだったのに…………」

青峰も緑間も黄瀬も自分が不甲斐ないと言う風に下を向く。

責める気はない。

だってそれは……

「俺も同じか…」

自嘲するかのように呟いた。

黒子の傷は明らかに昨日今日ので無いものもあった。

でも、俺達も気付かなかったんだ。

「きっと自分の光に必要とされてないと思ったんでしょうね。」

監督がそう呟いた。

「必要ないなんて思ってねぇ……です。」

「そうは言ってないわ。でも光の才能が開花して影すら不必要なくらい強くなったら……その時黒子くんは自分が必要無くなったように感じるでしょうね。」

「実際、青峰は不必要としてたのだよ。」

「そうっスよ。」

「もしかして俺のせいか?」

「もしかしなくても青峰っちのせいっス!!」

監督は目線を下に落とし考え込む表情を作った後言った。

「教えてくれてありがとう。でも黒子くんが目を覚ましたとき貴方達がいたら更に混乱するだろうから今日帰ってもらってもいいかしら?」

キセキの三人は皆、一様に頷いた。

そして他の誠凛部員挨拶をして帰っていった。



黒子があんなことをした原因はわかった。

自分が必要とされていると思わせることがそれを止めさせるためになることも。

だけど……必要って言ったところで黒子は信じるのだろうか?

それでも俺は隣にいよう。

「黒子。お前は一人じゃねぇし必要としてるやつもいるからな。」

そう言って髪を撫でると表情が柔らかくなった。

そんな気がした。


―――――――――――――――――

すみません……

分かりにくいことこの上ない……

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