黒バス-short-
□好きで嫌いな君へ
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目の前に大好きで大嫌いな君がいる。
僕のことを捨てた君が。
僕はもう一度バスケをやめた。
火神くんとはもう関わることはないと思っていた。
でも火神くんは僕を容易に見付ける。
それは嬉しくてでも辛くて。
必死に逃げていて……でも今日捕まってしまった。
屋上へ上がると二人の間に重苦しい沈黙が走る。
耐えかねて僕から口を開いた。
「で、何のようですか?」
「もう一度やり直してくれないか?」
「えっ!?」
「都合の良いことだとわかっている。でも、もう一度やり直したいんだ。」
その言葉は嬉しい以上に僕の心に怒りを覚えさせた。
「バスケの為ですか?」
「違う!!」
「ならどうしてですか?相棒がいなくなったからいいプレーが出来なくなっただけじゃないんですか?」
「違うって言ってんだろ!!!!」
「信じられません。それに、先に手を離したのは君だ。僕から離れていったのは……なのに今更もう一回やり直して欲しいなんて言われても……」
「俺は離れて気付いたんだ……お前のことが本当に大切だ……って。」
「…………バカ!!」
瞳から止めどなく涙が溢れてくる。
「僕が捨てられた時どんな気持ちだったかわかるのか?どんな気持ちで泣いていたのか……」
「黒子……」
「もう、話しかけないでください。」
僕はその場を後にした。
大好きで大嫌いな君へ。
僕を幻滅させないでください。
僕の思い出の中の君まで汚さないでください。
そして、ずっと好きでいさせてください。
僕のことを忘れないでください。