心頭滅却 BOOK

□03
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大将 黒鉄
副将 葉桜
中堅 神谷
次鋒 由利
先鋒 筧


「もう一度言うぞ。これが明日-----対白零落陽戦用のオーダーだ!」


部活にきて、ある紙を見た。
紙によると、黒鉄がなんと大将らしい。
白零と落陽なめてんのか、このじじい。


「奏ちゃん…、これってどういう意味なの?」
「捨ての大将ってことでしょ」
「「「!?」」」


あえてだれも言わなかったことをいっただけあって、視線がすごい集まった。


「黒鉄が出る前に三勝すれば勝てるからね」


戦法は大事だ。
でも、初心者によくこんなえぐいまねさせられるよ…。


「一番強いの夜鷹先輩だから、仕方ないんじゃない?」


かといって他が弱いわけないんだけど。


「あーー…カン違いすんなよ。神宮が一番強ぇのは俺が一番わかってるよ。ただな…同じぐらい白零や落陽の大将が強ぇのも知ってる。"だからあえて"神宮には――勝ちの難しい大将戦を避け…中堅で確実に一勝をとりにいってもらう。実績のある葉桜を副将にシフトしたのも同じ理由だ。大将以外の比較的弱いところにこっちの主力を集中……。
確実に勝ち数をとりにいく…。格上の相手に効果的な戦法だ」
「!?…待って下さい!!じゃあ相手のエースはどうするんですか!?大将戦は……」


由利先輩が反応した。
さっき私がいったこと聞いてなかったのかな。


「…捨てる。大将の出番が来るまでに3勝……勝負を決めちまおうってこった。だからこっちの大将は一番弱い奴でいい。そういう意味での…"捨ての大将"だ」
「………!!じゃあ…僕は……」
「そもそも黒鉄をレギュラーに選ぶことも俺にはやや抵抗があるが…木野子 猿飛おメェらはどう思う?」
「いやっでも僕なんか全然才能とかないしーー…」
「そうっス!!神宮主将が選んだレギュラーっスから…」


遠慮しているのが丸見えのお二人。


「じゃあオメーら…。実際…黒鉄と試合して…勝てねェか?」
「…!それはー…」
「えんりょしなくていいぞ」
「…!…さすがに僕も才能ないなりに何年もやってきました」
「自分も…簡単に負けるとは思ってないっス!!」


黒鉄君は二人の言葉に、さらに顔色を悪くした。


「…だそうだ。わかるか?黒鉄。オメーはまだ部員に認められたわけでもねぇし。本当の意味でのレギュラーになったわけじゃねぇ」


本当の意味のレギュラーってなんだろ。


「"怪物"馬空をはじめ。全国トップクラスの剣士を5人揃える王者「落陽」。IH個人戦二連覇正真正銘日本一の主将。"剣聖"夜鷹率いる名門「白零」。おめーがポッと出て正攻法で勝負になるほど…。甘い相手じゃねーんだよ。わかったら解散!稽古に戻れ」


黒鉄の背中が悲しそうに見えた。
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