短編
□その日が来るなら
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「ヒャッハハハハハ!」
黒く歪んだ煙に包まれている窯の前にたち、歪んだ表情で笑っている緑色の細身の青年。
「やった!ついに俺はアマテラスを殺せる!ヒヤッハー!」
「くそが!」
「アッレー?子犬ちゃんじゃん?いたんだー気づかなかったわー」
緑色の青年はぎんぱつの赤と緑の瞳の赤い服をまとった青年を見下ろすと先程まで戦っていた銀髪の青年に対し、わざとらしく歪んだ笑みをむけた。
「うっぜー」
緑の青年、否、ユウキ=テルミは膝をつき血塗れの青年、ラグナ=ザ=ブラットエッジを5mほど蹴り飛ばすと腹を押さえながら細い瞳をさらに細め笑い出す。
「兄さん!」
飛ばされたラグナに近づいた美しい細身の金髪の翡翠の瞳を持つ青年はその細いからだで実の兄であるラグナを支えながら起き上がらせる。
「にいさ、ん、、兄さん!、、テルミ!貴様!!!」
「ジン、」
「兄さん!こんなに血を、、」
ラグナはジンに大丈夫だといい、一人で立ち上がる。
「今の俺じゃあいつには勝てねぇのか?、、、くそ!」
ラグナは強く拳を握りテルミを睨む。全てを奪ったテルミを、
「はぁ?子犬ちゃんが俺に勝てる分けねぇのはあり前だろ?子犬ちゃんがよぉ?!」
「貴様!これ以上兄さんを侮辱するなぁ!」
「しょーさ、」
「っ?!」
ジンに帰ってきた言葉はテルミの物ではなかった。
ハザマ
「少佐は私には勝てません、今の少佐ではね、」
「どういうこと、、、!」
「愛してます。」
ジンの言葉は最後までいうことはできなかった。カズマは器、テルミが魂、、、ハザマは嘘
「ジン?私が愛しているのはあなただけ」
「ジン(ハクメンちゃん)」
テルミとハザマの言葉が重なって聞こえる。
「だからよー俺はマスターユニットを壊す!」
壊れている、狂っている、間違っている、恐れている、
この世界は壊れていた
ならばどうする?
壊すか?
ーいや、違うー
ならば、答えは1つ、
ー託すー
「兄さん、」
ジンは少しうつ向くと右手にユキアネサを召喚する。
「ジン、まさか?!やめろ!お前じゃテルミに勝てない!」
ラグナはジンの右肩を握り振り返らせる。
「兄さん、これしかないんだ」
ジンは今まで見たこともないような笑顔とこぼれ落ちる涙
「ジ、、ン、、?」
ーごめんなさいー
ジンは勢いよくユキアネサを引き抜くと自分の胸に突き立て己を貫いた。
ユキアネサで貫いた傷からは真っ赤な液体が本当に全てがこの青年の血液なのかと疑うほど溢れだし、地面を赤く赤く染め、ラグナ自信もジンの返り血で赤く染まる。
「ジン?!」
倒れ混むジンを支えしゃがみこむ。
「ジン!、ジン!」
肩を揺らすとかすれた瞳がゆっくりとラグナに移る。
ヒューヒューとジンの口から流れる。
「ジン!折角昔みてぇな中に戻ったんじゃねぇか!俺たちはやっと兄弟に戻ったじゃねぇか!なのに何でこんなこと!」
ジンはゆっくりと手をあげラグナの頬に手を当てる。
「にい、、、さ、、ん、、、」
「ジン!」
「なか、ないで?」
ラグナの瞳には溢れんばかりの涙がたまっていた。
「ぼく、は、、しろ、だから、、」
「?」
「これ、は、ね、繰り返し、、てるの、、このせか、い、、に、は、グハッ!」
ジンの口からは血が大量に流れ落ちる。しかしジンはしっかりと口をあけラグナを見つめていた。
「この、世界には、はぁ、、、はぁ、ぼ、僕が、二人い、る。」
「な?!」
「えいゆうの僕と、英雄のハクメン、
」
「ハクメンは、未来のぼく、だ、から、、ぼく、が死ねば、今は、な、いの、、、だ、から、また、やり、な、おせるの、、、、」
「ジン、」
「ハクメン(ジン)が、いな、い、と、、黒き、獣の、天敵が、いなくなる、、にい、、、さ、、ん、、だから、、次こそ、皆の、望んだ、、世界を、ま、もって?、」
「だいすき、にい、さん、」
ジンの美しい瞳は何も写さなくなってジンがラグナに当てていた手はぐったりと下ろされたまま動かなくなっていた。
ジンが息を引き取った瞬間突然の地鳴りが響きだしこの世の物とは思えない禍々しい鳴き声が響きだした。
「くそが!この、くそビッチ!やってくれる!また、また、てめぇはそいつにつくのか?!ジン!」
世界は壊れだした、否、新たな世界へと動き出したのだ。
世界が壊れる(再生する)なか、ラグナは愛しい弟、ジンを抱き抱えながら涙を流した。
ージン、俺もお前を愛していた。気付くの遅すぎるだろ?ー
ーごめんな?ー
ーまた、次の世界で会おうな、ー
ージン(ハクメン)ー
end
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