白銀の夜叉
□現実は残酷で、
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『お前らだけは俺のこと忘れないでくれよな、』
「う、、朝?」
押し入れで寝ていた色白の少女、神楽は目を擦りながら起き上がった。
暫く壁をじっと見つめ動く様子がなかったが、突然ハッとして押し入れのドアをこじ開けた。
押し入れを出るとそこは万事屋の事務所だった。
神楽は走り出してしっかりとみてはいなかった、そのため見逃したのだその部屋の違いを。
神楽は銀時がいつもは寝ている寝室のドアを勢いよく音をたてながら開けた。
そこにはなにもなかった。
銀時だけではないタンスや、銀時が愛用していた洞爺湖の木刀すら見当たらず、ただの飽き部屋が広がっていた。
「そんな、銀ちゃん?」
神楽は膝から崩れ落ち、目の前の現実を受け入れられなかった。
すると勢いよく階段をかけ上がる音が聞こえ、玄関のドアが開けられると同時にその人物の声が耳にはいった。
「銀さん!神楽ちゃん!」
その声の主は直ぐに事務所に入り込み崩れ落ちた神楽を見つけかけよった。
「神楽ちゃん!、ぎ、銀さんは?!」
その声の主、否、万事屋のメンバーの1人、志村新八は神楽の肩をつかみ、神楽の顔を見るとあたりを見回した。
そこには何もなかった。
「っ!?」
そう、銀時の寝室だけではない、事務所は机やソファーはあるものの、銀時の机や椅子、糖分と書かれたがくもなく、銀時の私物全てがその万事屋から消え去っていたのだ。
「し、新八ぃ、、銀ちゃんが、」
新八は神楽のその泣きそうな顔を見つめ、辛そうな顔をしたとたん下を向いた。
「あのね、神楽ちゃん、、、外の万事屋銀ちゃんの、看板、、無かったんだ。」
そこで神楽全てを理解した。
あのとき、銀時が変えた過去のせいで銀時が万事屋を営む未来が変わってしまったのだと。
「でも!私達が銀ちゃんの事を覚えていってことは銀ちゃんも私達の事を覚えているんじゃないアルカ?!」
「そ、そうか!そうだよね!探せば自分から出てくるよね!」
新八は下げていた顔をあげるとスッと、立ち上がり拳を強く握った。
「行こう!神楽ちゃん!」
この二人は信じて止まなかった。
次に会う銀時が全て変わっていないまま、また自分達の前に現れてくれることを。