短編

□許せないのはどっち?
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兄さんは僕に会うと僕に暴言を言ったね。





僕が憎いんだね



でもね僕は耐えたよ?我慢したんだよ?だって兄さんのこと愛しているから大好きだから。







でも、もう耐えられないよ。





ねぇ?



兄さん。







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太陽が本当にあるのか疑いたくなるほど薄暗い空に不気味な雲が空一面に広がっていた。まるで今の僕を嘲笑っているようだった。
それもそのはず。


だって今の僕の腕の中は真っ赤だったから。
赤赤と染まっていたから。
その赤は僕のものじゃない。僕の腕の中に静かに横たわっている少女の物だ。
少女は胸から腹から腕から手から足から頭から赤い血を流していた。その血は少女が先程まで生きていた証拠にまだ暖かくえぐれた肉から溢れ出てくる。
しかしその証拠を消すかのように血が出ていくに連れてだんだんと少女の身体も冷たくなってゆく。
肌の色は元から白く美しい色だったがその色はますます白く、青白くかわっていった。

彼女が、ツバキが死んでからどれくらいたったかわからない。


どれくらいの時間ツバキを抱きしめていたのだろうか?


なぜそうなったか。
そんなの自分の目で見ていたじゃないか。


ツバキを






ツバキを殺したのは




兄さんだ。







兄さんはハザマ大尉にリミッターを外され自我の持たない人形になり精錬実験で神殺しの剣クサナギになったノエル=ヴァーミリオンを救うためこの精錬実験の行われた場所にやってきた。
しかしノエル=ヴァーミリオンを救う事を阻止しようとしたツバキを兄さんは殺めた。
帝にマインドイーターをかけられた罪もないツバキを、僕はそこを目の当たりにした。


結局兄さんは左手を犠牲にしてノエル=ヴァーミリオンを元に戻した。
しかし、ノエル=ヴァーミリオンは意思を取り戻し現実を受け入れられなかった。

当然だ。

親友のツバキが死んでいたのだから。
ノエルは狂ったように泣き叫んだ。




ゆるせないよ。



兄さんはノエルを優しく抱きしめた。

「すまねぇ、」




なんで?



どうして?、
どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?



先に気にかけるべき者がいるだろう!!


許せないよ。





もういいよね?兄さん。




だってこの世界はもうおしまいだから。



世界の抗体である僕が諦めたんだこの世界はおしまいだよ?


だから、




「死ね。」





「ぐぁ?!」

僕はツバキを優しく寝かせ羽織をかけたあと兄さんに斬りかかっていた。
兄さんは精錬実験の窯まで飛ばされていた。

「かはっ!、、、、て、めぇ、、ジン!、、何しやがる!?」




何しやがる?だって?





「、、、な、、だ。」


「あぁ?」


「わからないんだ。」



兄さんはノエルを優しく座らせ僕を睨みつける。

「ノエルに当たったらどうする!!」




僕の中で何かが壊れる音がした





「くはっ、、くははは、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!?!」


「?!」

笑いが止まらないよ兄さん


でもねそれと同時に涙も止まらないんだ。



「このイカレ野郎ころ、、」


「僕も殺すの?」


「?」


「ツバキみたいに、いや、グチャグチャにして殺すの?」

「っ?!」


兄さんは何かに気づいたように1歩下がり静かに寝ているツバキを見つめた。

「その女、知り合い、、なのか?」



「ツバキは僕の大切な人、僕をしたってくれていた人」


「な、、」


「兄さんはいつもそうだよね、僕の事なんかお構いなし。僕の事嫌いだもんね。」


「、、、、、」


にくいよにくいよにいさん。


「子供の頃からそうだもんね兄さんはずっとさやばっかり、僕ね、兄さんのこと大好きだったよ、でもねそれと同時に兄さんはのこと大嫌いだった!!!!!殺したいくらい!大嫌いだった!!!!!」


僕は涙を流しながらしたを向いた。
だから兄さんが今どんな表情をしているのかわからない、いや、知りたくはなかった。
兄さんは僕の事が嫌いだった、今もきっと、殺したいほど嫌いだった。
だから僕の大切な人がいなくなっても構わないだろう。むしろ喜ばしいぐらいだろう。







ージン兄様ー











「ぐぁ?!、、、、く、、」


頭に響いてくるツバキの優しい声。







ージン兄様は私の憧れですー










ごめん、ツバキ、僕はツバキの気持ちに想いに気づいていながら気付いていない振りをしていた。

ツバキが大切だから。

僕のようになって欲しくなかったから。





そう、




















僕はツバキと違う。










だからね僕は兄さんの肉体を存在を魂を殺す、殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すー。






「ーぃ、!、おい!ジン!」



「うるさいな、聞こえてるよにぃさん」


僕は顔を上げた。

兄さんはいつの間にか目の前まで来て僕の肩を掴んでいた。


うざい、





うるさい。







毛皮らしい獣が。










「何笑ってやがる、」


兄さんは僕を睨みそういった。


笑う?

あぁ、当たり前じゃないか、

だってね、

「今からツバキを殺した黒き者を殺せるからだよ。」



「ぐはっ」


ユキアネサが兄さんの胸を貫く。
赤い、

兄さんの胸から僕のユキアネサをつたい流れて僕の手を濡らす新たな赤い血。


「にぃさんがいけないんだよ?」




どこかで言ったかもしれない。




「ジン、」



「にぃさんはきづいてなかったんだよね、さっきも言ったよねボクはにぃさんが大嫌い。ボクが好きで大切で仕方がなかったのはサヤだ。」



僕は兄さんの胸に刺したユキアネサをさらに深く刺し、兄さんに
抱きついた。
僕の顔に兄さんの暖かい血が触れる。



「てめぇは、、サヤ、の、こと嫌いだったじゃねえか!」


兄さんは無理に叫んだせいで大量の血を吐いた。

「それはサヤじゃなかったから。」


訳がわからないようで兄さんは何も言わない。






「サヤは死に取り付かれていたら。」




「どういう、、」


兄さんが言い終わる前に僕はユキアネサで兄さんを横にきりさいた。





「どうでもいいや、もう死んで?にぃさん」





兄を切り裂いて切り裂いて切り裂いて切り裂いて切り裂いて切り裂いて切り裂いて、、



でも、何度も治る。



なぜ死なない?






なぜ治るの!?


















あぁ、そうか、



当たり前だ。
この世界は狂っている。

僕も狂っている。



兄さんは蒼の魔導書を持ってるんだ。そんなことじゃ死なないよ。




じゃあどうすればいい?兄さんを殺すには、、





この世界を始まりに戻せばいい、

そうすればツバキも元に戻る!





「が、、ぐぁ、、」



兄さんはまだ生きてるね。


「はぁ、はぁ、はぁ、くははは、」


「この、、イカレ野郎!」



「いいよ、にぃさん、もう、、もう、いい!ひっぐ、、ふぇ、、」



「な!?何泣いてやがる、」


まだ動けないのか兄さんは視線だけを僕に向けていた。
何度ふいても溢れる涙。



兄さん、もう、バイバイだ。
僕は巻き戻す。


世界を、



「また、次の世界で殺し合おうね。にぃさん」



僕は兄さんの大剣で自分の胸を貫いた。



世界が歪む。


最後に見たのは涙を流し僕を抱きしめる兄さんだった。


「ジン、、、俺は、お前を、ーーーーいた。」



え?



聞こえないよにぃさん。







やっぱり僕は嘘が下手なのかな?

自分の気持ちに嘘はつけないのかな?




だって、最後の最後に僕は兄さんを殺せなかったからね。


ゴメンね、大好きだったよ、






にいさん。












あとがき


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