短編

□ほんとのきもち
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『ジン兄様!』

『さや?!』

サヤと呼ばれた黄色の幼い少女は同じ黄色の少年に抱きついた。
二人は瓜二つの顔をしていた。
ジンが髪を伸ばせば入れ替われるぐらいに似ていた。違うところと言えば体の大きさ、サヤはジンより一回り小さい。
それぐらいの幼さなら男女体の大きさはあまり変わらないがこの兄妹は違った。

『サヤ、体は大丈夫なの?』

『今日は大丈夫だよ、兄様がシスターに呼ばれちゃったからジン兄様のところに来たの』

『そ、そう、』

そう、サヤは体が生まれたときから不自由なのだ。
外に出られることすらあまりない。

『ジン兄様はサヤのこと、、、き、嫌い?』

『っ?!、、、そんなことない!!僕は兄さんとサヤは同じくらい大好きだよ!サヤは僕のたった一人の妹だから!』

『私もジン兄様のこと大好き!』

サヤはジンに抱きつき頬を赤らめた。
ジンは答えるかのようにサヤを優しく抱きしめはにかんだ。

(サヤが、、すき、)
ジンはサヤを抱きしめながら美しい翡翠の瞳を細めた。

(サヤが、すき、)
ジンは自分の発した言葉に自信が持てなかったのだ。確かにサヤはたった一人の妹だ、では妹ではなかったらどうだろう。
(許せない)
では妹がいなかったらどうだろう?



答えは出なかった。







あぁ、自分はきっと妹が嫌いなのではないのだろう。
今の自分では答えは見つからない。愛している妹に、否、今の妹に対する悪はない、世界は今の妹に対して悪い線をつけてはいない。


だから今の妹に冷たくしなくてもいいのではないか?

でも、冷たくしなくても兄はジンには振り向かないだろう。どんなに妹を愛そうが、優しくしようが兄はジンを嫌うだろう。
いっそジンに笑顔を向けるサヤを愛してしまえば楽なのだろうがそれは無理だろう。
ジンにとってラグナは必要不可欠な存在なのだから。







(あぁ、神様どうか僕に護れる力を下さい。)

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