短編
□鬼の子
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世界は色がない
空を見ても、夕焼けを見ても白と黒、
だけどね、一つだけわかる色はあるよ。
自分の目の色と同じ深く、黒々とした赤。
気付いたときには一人だった。
初めて見たのは人間の死体、次に見たのは自分を殴ろうとする動く人間。
どちらもひどく残酷で、冷たい。
屍からとった握り飯には味は無かった。
中央には何かの実が埋め込まれていたが味がない。
色だけではない、味覚までもが無くなっていたんだ。
ーたたかうー
ーおにー
言葉も知らない。
知っている言葉は酷く冷たく感じる。
アレ?
ナンダロ?
オイテアッタ、団子ヲ食ベタダケナノニー
体ガ、ウゴカナイ?
世界は酷く残酷で冷たい