縁薫v抜薫
□泣かないでベイビー 〜Merry Christmas!
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カレンダーが最後の一枚になって数日経った、ある朝。
「お兄ちゃん、クリスマスの日は家にいるの?」
慌ただしく出かけようとする緋村をなんとか玄関先でつかまえる。
「クリスマス?どうかな。年末に向けて忙しくなるからまだわからない…」
そう言いかけて、何を思いついたのか義兄が目を険しくする。
「――門限は八時だからな」
「え…?」
「泊りとか、絶対許さないぞ」
「な、何言ってるの!?だから、お兄ちゃんがクリスマスは家にいるのかって…」
(聞きたいんですけど!)
「クリスマスだからって、彼氏と外泊なんて絶対駄目だからな!勉強しろ、勉強!」
バタン!とドアを閉めて緋村は出ていってしまう。
「だから、彼氏なんかいないんだってば…」
薫はがっくりと肩を落とした。
高校最後のクリスマス。春にはこの居候生活も終わってしまう。どうしても、一番大好きで大切な人と過ごしたい。そんなの薫のわがままだとわかっているけど。
(どうせ仕事か…巴おねえちゃんとデートだよね)