縁薫v抜薫

□泣かないでベイビー 〜Merry Christmas!
1ページ/7ページ




 カレンダーが最後の一枚になって数日経った、ある朝。

「お兄ちゃん、クリスマスの日は家にいるの?」
 慌ただしく出かけようとする緋村をなんとか玄関先でつかまえる。
「クリスマス?どうかな。年末に向けて忙しくなるからまだわからない…」
 そう言いかけて、何を思いついたのか義兄が目を険しくする。
「――門限は八時だからな」
「え…?」
「泊りとか、絶対許さないぞ」
「な、何言ってるの!?だから、お兄ちゃんがクリスマスは家にいるのかって…」
(聞きたいんですけど!)
「クリスマスだからって、彼氏と外泊なんて絶対駄目だからな!勉強しろ、勉強!」
 バタン!とドアを閉めて緋村は出ていってしまう。
「だから、彼氏なんかいないんだってば…」
 薫はがっくりと肩を落とした。

 高校最後のクリスマス。春にはこの居候生活も終わってしまう。どうしても、一番大好きで大切な人と過ごしたい。そんなの薫のわがままだとわかっているけど。
(どうせ仕事か…巴おねえちゃんとデートだよね)
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ