縁薫v抜薫

□泣かないでベイビー 前編
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 父と育ての母が事故で亡くなり、薫は十八歳で独りぼっちになってしまった。
 それでも、彼らが遺してくれた自宅と財産でなんとか生活していけると思っていたのだが…。


「え…借金って…おじさん、どういうこと?」

 四十九日が終わった頃、父の友人であった男が、弁護士と共に真っ青な顔で訪ねてきた。
 事業を起こそうとした父には大きな負債があり、返済が困難なのだと。このままでは連帯保証人になっていた彼の所へは、連日厳しい取り立てが行われているらしい。。
「そんな…おじさん、どうすればいいの?」
「薫ちゃんには本当に申し訳ないんだが…」

 ――家と土地を手放して、負債の返済に協力してほしい…。
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