現パロ Home,Sweet Home
□別れの予感
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「ただいまぁ。心配かけてごめんね」
思わぬ一泊旅行から帰ってきた娘。
突然のアクシデントだったが恵や緋村も一緒ということで、心配はしていなかったが…。
「お土産、いろいろ買ってきたよ。着替えてくるね」
薫は果物やワインなどを並べ、上機嫌で部屋へ上がっていった。
両親は思わず顔を見合わせる。
「…あれは何かいいことがあったわね。…緋村くんと」
「解り易すぎるな…」
父としては、娘の恋愛事情など知りたくないだろうが、これほどだだ漏れでは笑うしかないようだ。
旅行へいく前のどんよりした表情とは全く違う、明るくきらきらした笑顔。
母としては根掘り葉掘り聞きたい衝動に駆られるが、複雑そうな夫の前に我慢する。
「…二人のこと、やっぱり反対?」
尋ねると、越路郎は意外そうに目を見開いた。
「まさか」
「そう?でも浮かない顔してるわ」
娘を取られる寂しさというには、やけに難しい顔。
「そうか?…それより弥彦も呼んでくるから、梨むいでくれ。葡萄も旨そうだな」
「もう…」
仕方ないのでごまかされるが、夫の遠い眼差しに一抹の不安がよぎる。