お題―恋する動詞

□続 悩む
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※このお話に限っては、17歳で未経験の薫ちゃん、当時の社会的年齢だと二十三、四歳くらいかなと思って書きました。経験ないのがちょっぴり恥ずかしいお年頃…ということから始まるラブコメです!
 ちなみに江戸時代、庶民の未婚の娘さんが経験ありなのは普通のことだったそうです。むしろ処女は面倒みたいな?純潔が重んじられるようになったのはキリスト教の影響らしいです。今回に限ってははそういうイメージで読んでやってくださいm(__)m

あと、いつもに比べてちょっぴり剣心がヤンデレ(?)風味になりました。苦手な方はご注意ください。





 秋風が吹き始める頃、恵が会津へ帰ることになった。それに合わせて蒼紫と操も京都への帰還を決めた。

 皆と最後の夕食を取り、台所で片付けをしていると、左之助が薫の元にやってきた。
「なーにしょぼくれてんだよ」
 寂しさに沈んでいた背中を馬鹿力で叩かれ、思わずよろめく。
「いったぁ…何すんのよ!」
「悪い悪い。で、どうなんでぇ、実際のところ」
 にやつきながら薫の顔を覗き込んでくる。
「なんのこと?」
 意味がわからずきょとんとすると、かぁーっと左之助が頭をかき回した。
「嬢ちゃんまでとぼけんのかい?京都で剣心と何かあったんだろ」
「――…!別に何もありません!」
 真っ赤になってしまえば、何かありましたと告白しているも同じ。
「ははっ、茹でダコみたいだぜ」
 左之助が楽しそうにわらった。
「剣心まだ本調子じゃねえから、嬢ちゃんも丸っきり寝たまんまじゃ具合が良くないぜ…――って、なんだか心配になってきたな。大丈夫かよ。生娘は面倒だからなー」
 本気で案じ始める様子の左之助に、だんだんと腹が立ってくる。
 余計なお世話だ。こんな馬鹿話をするくらいなら、操と別れを惜しみたい。

 最初は沈んでるから元気づけようとからかいに来てくれたんだろうけど、いつでも小娘扱いで失礼すぎる。――…そりゃあ、じっさいまだ生娘ですけど!

「なあ、閨の事、いろいろ教えてやろうか?」
「は?!いらないってば!」
 (本人は親切な兄心だって思ってるから余計に面倒だわ…腹立つったら…)
 とっとと追い払いたい…。
「――あのね、わたしは左之助が思っているような女じゃないの」
 恵の婀娜っぽい仕草を思い出しながら、腕を組んで左之助を睨む。

 京都では剣心と接吻以上のこともしたし!もう、『嬢ちゃんはないなー』なんて、ため息をつかれたままの薫ではないのだから!

「左之助に心配してもらわなくても、そういう事くらいちゃんと知ってるんだから。大きなお世話」
 つんっ、と顔をそらすと、がくりと流しに左之助が腕をついた。
「そうか…そうだったのか…」
「…は?」
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