□Book□
□自分からしたい事、あるんです。誰でも。
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ギンチャクといつもの如く一緒に呑んで、下らない話をして笑い合って。酒も進んで話も弾んで楽しくなってさ。
ツマミが欲しいなってなったから、俺ちょっと家を出てツマミ買いに行ったんだよ。
5分くらいして帰ったらソファーにもたれてギンチャクの奴、寝てるんだ。グラスには半分酒が入ってたまま。
「おーい買って来たぞーお。」
「………zzz」
「俺一人で食うぞー。」
「………zzz」
「ふぅ。」
普段は俺より後に寝るし、俺より早く起きる。そんなギンチャクの寝顔は滅多に見れない。
だからなのか。
ドクドクと心臓の鼓動が強く高鳴るのは。
「ははっ、酒溢れてるし」
口の端から僅かに垂れている酒の雫を指で拭う。柔らかい唇が指先をなぞった。
またドクリと鼓動が鳴る。
脳裏に浮かんだのは、その綺麗な唇が自分のに触れる瞬間の記憶。キスする前にゆっくりと確かめるように俺の唇をなぞり、そっと自分に引き寄せる。
鼓動はまた強く鳴る。
ああ、無防備な姿を晒すこいつに触れたい。俺からキスなんてしない。こいつが寝てる時なら出来るかも知れない。
そう思っている間に顔を少しずつ近付ける。鼓動は間隔を与える間もなく鳴り響く。
そして、
小さいリップ音と共に唇を重ねた。
(やっば俺、心音すげぇ…!///)
自分からするとどの時間口付けていて良いのか分からない。20秒くらいは触れていたと思う。脳内が混乱で、心臓が爆音で、静かな部屋一人でパニック状態になる。
ふっと小さく吹き出した声で我に返ると、さっきまで寝ていたギンチャクがクスクス笑っている。
「随分長かったね、そんなにしたかった?」
「はっ、おま、起きて…!?」
「そりゃ起きるよ。呼吸しづらくなったら。」
「〜〜ッ!!///」
「可愛い深海君。可愛いからもっとしてあげる。」
「って何押し倒し…、」
「あ、電気消す?」
「どこまでする気だぁああああ!!!!///」
結果、俺からしたらこいつの変なスイッチを押してしまうようだ。
fin.
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肉食系だけどちょっとヘタレな深海さん美味しいよ^p^
ここまで読んで下さりありがとうございました!!
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