みじかいの

□運命の人
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『ねぇ、緑間くん。


運命、って信じる?』


運命の人


いつだったかはもう、覚えていない。

だけど、私は確かに聞いたんだ。


緑間くんは“変わってる”という言葉以外に表しようがないくらいに変わった人だった。


そんな彼に恋愛論を聞いてしまったのだ。

緑間くんの横で頬を膨らませて笑いを堪えている高尾くんからしたら私も緑間くんと同じぐらい変わった人間だったのかもしれない。


「信じるに決まっている。


俺の運命は既におは朝によって決められているのだよ。」


なんて緑間くんが言うから高尾くんが吹き出して、私の胸は痛んだ気がした。

それでも勇気を出して、私は言った。

『へ、ぇ...どんな人なの...?』

「?...まぁ、いいだろう。教えてやらんことも無いのだよ——————…」


それが、どんな答えだったのかは思い出せない。けれど、私とは全てが違っていた。


星座も、性格も。


目の奥がじんわりと熱くなって、涙が零れそうになる。あぁ、泣いたらダメだ。


今ここで泣いてしまえば、より嫌われてしまうかもしれない。

必死に笑顔を作って、堪えた。


好き、だったのに。...私、緑間くんのこと好き、だったんだ。


“好きです”なんて言えなかった。

だって私は運命の人じゃない。運命の人にはなれなかった。


だから、一つだけ...我儘を。



“君の盲信する運命に、私が少しでも組み込まれていることを...”
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