えまーじぇんしー!
□そんなに泣かないでください、理性が保てなくなる。
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「加宮!...お前、料理は出来るか...?」
『ひ、人並みに...?』
先輩方が必死の形相で迫って来たので若干引きつつも肯定する。
どうやら合宿では自炊をしなくてはならないらしいのだがリコ先輩の料理センスが壊滅的故私が頼みの綱だったようだ。
そして試食会と題して私の料理が安全か、なおかつリコ先輩の料理を食べられるものにできないかという挑戦をするわけである。
『カレーなんかでいいんですか...もっと難しいもの要求されるかと思ってドキドキしてたんですよ...』
「俺らは決して高望みはしない!」
そういった日向先輩の姿に哀愁が漂っているように見えたのは私だけなのでしょうか。
『...じゃあ、作りますね。』
といって下ごしらえから始める。
「お、手際はなかなかだなぁ。」
何か木吉先輩に褒められると照れる。お兄ちゃんみたい。(居ないけど。)
ジャガイモ、ニンジンは難なく切り終える。が、次は最大の難関、玉ねぎだ。
包丁を入れると、涙が止まらなくなる。
『っうー...』
目に染みる目に染みる目に染みる目に染みる!
「加宮さん...
そんなに泣かないでください、理性が保てなくなる。」
黒子くんが後ろから抱きつき耳元で囁いてくる。
『料理は、それなりに作れる...ので、リタイアさせて、下さい...』
先輩方が無言で小さく頷いたので黒子くんの鳩尾に肘鉄をかまし私は逃げ出した。
そして合宿で作られるカレーに玉ねぎが入ることは二度と無かったのです。