えまーじぇんしー!
□興奮しますね、もちろんそういう意味で。
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「加宮さん、チョコバナナ食べませんか?いくらでも奢りますよ。」
今日は、お祭りに来ています。(季節外れェ...とかはスルーでお願いします。)
誠凛皆で来ていたはずがいつの間にか二年と一年に分かれ、そこから何故か火神くんと黒子くん、私になり火神くんが出店をものすごいスピードで制覇しようと試みているために黒子くんと二人きりである。
一言で言えば身の危険を感じる他にない。
『いらない。
どうせ“加宮さんがチョコバナナを...エロいですね”みたいなことになるんでしょ。』
「...僕はそんなつもりはなかったのですが。加宮さん、何を想像したんですか?
僕はただ純粋に、
僕の(買った)チョコバナナを食べてほしい、と思っただけなのですが...」
『――...っ!死ね!変態!』
「加宮さんになら殴られるのも悪くないですね。」
『...もういい!林檎飴買ってくる!』
私には扱いきれない。
ていうか何故先輩方もフリくん達も私と黒子くんを一緒にしとくかなぁ...
なんて、思考をぐるぐる巡らせながら林檎飴が売っているであろう屋台に到着。一つ買ってさて、と振り返ったところで足が痛むことに気が付いた。
足元を見ると着ていた浴衣に合わせた下駄の鼻緒が皮膚に擦れ、血が赤く滲んでいた。
『いっ...!』
よたよたとおぼつかない足取りで人通りの多い場所から抜けようとするがいかんせん上手く歩くことが出来ない。
「加宮さん!」
『げ、黒子くん。』
「げって何ですか。まったく、探したんですよ。って、足怪我してるじゃないですか...」
『このくらいなんてことないからほっといてくれて構わないよ。』
「...よたよた歩いてるの見てましたよ。」
黒子くんはそういって私を無理やり背中に乗っけるとすたすたと歩きだした。
『ちょ、おろして!』
「怪我人は大人しく林檎飴でも食べててください。」
これ以上抵抗しても無駄だと思ったので無言で林檎飴を舐めはじめる。甘い。
「耳元で舐める音がするのって、
興奮しますね、もちろんそういう意味で。」
私は黒子くんの頭にゲンコツを一発いれておくことにする。
(ちょっとかっこいいとか思っちゃったじゃんか。)