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□闇夜の月
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プロローグ
真っ暗な闇夜に、差し込む鮮やかなれど、儚い光。
その光が、ある一団を照らし出す。
「今日は随分騒がしいね」
小豆色の長い髪をひとつに纏めた少年が、ふんわりと笑っていう。
「………本家は大変だろう…」
影のように、色のない少年は溜め息をつく。
「まあ、それが仕事なんだし、奴等は気にしないよ、ね、梓?」
銀色の光が揺れる。
「……じゃない?………戻ろう。面倒に巻き込まれるは嫌…」
一群は屋敷へと戻っていく。
他の妖怪と別格の畏れを纏って。