最遊記〜桜ノ子〜
□捕まえよう
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〜悟浄視点〜
朝、俺はあくびをしながら自分の部屋をでる。
八戒は既にもう起きていた。(まぁ、そもそも俺より後に起きてきた事など一回もないが)
「悟浄、おはようございます。」
「ん...おー。」
「朝御飯、温めますね。」
「わりぃな。」
「いえ。」
煙草に火をつけ紫煙を吸い込む。温かい朝飯を持ってきながら思い出したように八戒が口を開く。
「悟浄、今日ってあいてますか?」
「いや、別に用事ねぇけど、...どうしたんだ?」
「いえ、この前の夜の出来事、覚えてますよね?」
という。
夜の出来事といえば、あの事だろうとすぐにわかった。
月の綺麗な日、俺は何となくその日店に行ったはいいが、あまり盛り上がって話す気にもなれず
何時もよりは早く帰って来た日だった。
ふと、耳を澄ませると歌が聴こえた。
聴いた事もないくらいの綺麗な声が。
その声に誘導されるように俺はいつの間にか走っていた。
その声の主は、俺の家の側の、木の上にいた。
小さな...多分悟空と同じくらいの少女が歌を歌っていた様
その少女はまさに白と言うに相応しく、肌は陶器のように白いし、髪の毛は白銀で月の光に照らされきらきらと輝いていた。服も勿論、白い、
そんな白い少女だったが、
片目だけはとても綺麗な空色で、月を思わせる銀色の目に対し
左目だけ綺麗な空色だったのだ。
俺は何故かその空色だけ残しその少女の白は月か何かが消してしまう気がして
声をかけようとしたらいつの間にか居た八戒に先を越された日のことだ。
八戒は、あの白い少女のことを言っているのだ。
「あぁ、あの白い...ガキのことか?それがどうしたんだ?」
「それがついこの前捕まえよう...なんて話になりまして。それが、実は今日の夜なんです。この頃雨続きだったじゃないですか。
それで、今日が唯一晴れてる日なんです。」
何をどうして捕まれるなんて話になったんだ、と俺は半ば呆れていた。
「...まぁ、つっこまねぇけどよ。
わぁった。今日の夜...な。」