最遊記〜桜ノ子〜

□桜ノ子
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「三蔵ー!起きろって!
なぁー!起きろ!!!」

耳元で体をゆすられながら起こされる。
低血圧のせいか、頭が痛い。耳元で騒がれたせいもあるが。(むしろ、騒がれたせいであると思う。)

「〜〜〜っ。
っるせぇ!!バカ猿!!!」

怒りを全てハリセンに込め、
力いっぱいに悟空の頭をぶっ叩く。

「いてぇっ!
何すんだよっ!そんなに怒んなくてもいいじゃんかっ!」

「るせぇ!てめぇのせいで寝起き最悪なんだよ!起こし方ってもんがあるだろうが!
このバカ猿!」

「だってさぁ!歌が聴こえたんだよ!」


歌...?
いや、でも俺が聴こえたのは昨日の真夜中だったはず...
今は早朝だ。


(どういうことだ...?歌は空耳じゃなかったっつーことか?)


「なんかさ!聴いてたらさ、すっげーキラキラしてて、懐かしくって、でもなんか悲しくなるんだ...」

悟空の顔が悲しみを表すかのように僅かに歪む。

「人語喋ろ。
バカ猿。」

だが、悟空の言う事にも一理ある。

確かに懐かしいと、俺も思ったからだ。


(懐かしい...?
いつ俺は聴いた?)



考え込んでいると、悟空が騒ぎだす。


「っあー!
考えたら腹減った!」


...こいつの空気の読めないのはどうやら、いつもどおりだったようだ。
しょうがなく、考える事はあとにしよう。と俺は思ったのだった。
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