最遊記〜桜ノ子〜

□捕まえよう
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「みなさーん、準備はいいですね?」

「おっけー八戒!」

「...」

「...おー」

上からテンションの高い八戒、ノリノリの悟空、眠くて無言の三蔵、あまり気の乗らない悟浄、の順である。

とうとう深夜になり
3人は桜の木のまわりにある木などに隠れていた。
だが、悟空は行動範囲が広くすばしっこいので1人桜の木の上で待機だ。

「三蔵、あいつが現れた時桜の花が咲いてたって言ってたよな?
あれってマジなのかよ、どー考えても今の時期咲いてねーだろ...」

「クソ河童、俺が狂ってるとでも言いてェのか。
そもそもあの存在すら現実味がねェ時点で何が起こってもおかしくないっつーのがわからねェのか?
その厚かましい頭で少しは物事考えることを覚えるんだな。」

「〜ッ!テメェ...喧嘩売ってんのか?!」

「ハッ
テメェなんざに売るモンなんかあるかよ。」「このクソ坊主...
ッ?!なっ、桜が...?!」

桜の蕾が開き始め、思わず途中で2人は喧嘩をやめた。
花弁が1枚、2枚と落ちどこからか歌が聴こえ始めた。


「桜が咲いた!」

「悟空!女の子は居ませんか?!」

「いや、居ない!歌は聴え ...ッ!」ーーど
うして居るの?ーー

「「「「ッ!?」」」」

いつの間にか悟空の後ろに居る少女。
あまりに突然のことで
当初の捕まえる、という目的を忘れる悟空。

ーーなんで居るの?ーー

「あ...」

急に顔を近づけられて悟空は動揺する
が、捕まえる、ということを思
い出して少女を抱きしめようとする...が

「よっしゃ!捕まえ...うわぁっ?!」

少女の体を悟空の手は通り抜け、バランスを崩した悟空は地面にドサッ
と音を立てて落ちる。

「 大丈夫ですか?!悟空!


八戒がいそいで悟空のもとへ駆け寄る、
そして別れを惜しむ様に少女は
手を振った。

ーーじゃあね。皆。楽しかった。ーー

「...消えちゃい...ましたね。」

「チッ」

「あぁ。」



その日からパタリと歌は聴こえなくなった。
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