○ハンター試験編○
□恋……?
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キルア「これで分かったろ。オレが人に恨みを買う人間だってこと」
ゴン 「キルアが殺したわけじゃないよね」
キルア「どうしてそう思う」
ゴン 「何となく」
ゴンとキルアはみんなと別れた後、通路の夜景を再び眺めていた。
キルアの顔からは未だに表情が読み取れない。
ゴン「オレ、キルアのこともっと知りたい」
キルア「オレにかまうな。一人にしてくれよ」
しかし、キルアの傍には一切動こうとしないゴンの姿があった。
キルア「お前にはかなわねぇーな。…………うちの家族、全員暗殺家業してるんだ。金さえもらえば誰でも殺す。
…………オレってさ、嫌なんだよね! 人にレール引かれる人生ってやつ?
自分の将来は自分で決める≠チて言ったら親兄弟キレまくりでさ!
お袋なんかいかにオレに人殺しとしての才能があるか涙ながらに力説するんだぜ!? ひでェー親だよ。グレるぜ! 普通」
ゴン 「うん」
ゴンな目には、しっかりとキルアの姿が映し出されている。
そんなゴンを見ているとキルアはどうでもよくなったのか、少し顔が穏やかになってきていた。
キルア「でさっ! その後、結局ケンカになってお袋と兄貴を半殺しにして家おん出てやった! 今頃きっと血眼さ!!」
ゴンはどうリアクションして良いのか分からず、苦笑していた。
そして、こう続ける。
ゴン 「…………キルアってすごいね。オレ、キルアみたいに父さんを超えたいなんて思ったことないもん」
キルア「そうか……親父を捕まえる≠チてそういうことだよな」
ゴン 「できるよ! キルアなら」
キルア「全然説得力無いな! お前、俺の親父知らないだろ!?」
ゴン 「でもキルアのお父さんでしょ? 何となく分かるよ」
キルア「何となく〜? ……もぅ、いいや!! …………なぁ、相談してぇことがあるんだけどさ」
ゴン 「ん? なに?」
キルアが話を急に切り替えるもしっかり受け答えするゴン。
キルア「…………シオンの奴、オレのこと庇って刺されただろ? 何でそこまでしたんだよって思ってさ」
ゴン 「何言ってんの? 仲間だから助けたいって思ったに決まってるじゃん!!」
キルア「やっぱりそうなのか…………?」
ゴン 「うん、そうだよ!」
キルアはゴンの言葉に疑い、ゴンの目をしっかり見ている。
しかし、ゴンは元気な声で自信たっぷりに言った。
キルア「オレのせいであんな怪我したからさ。どう声を掛ければいいか分かんなくて…………」
キルアはいつになく弱々しく見えたゴン。
ゴン 「心配しなくてもいいよ! シオンなら怪我を治してキルアにいつも通りに声かけてくれると思うよ」
キルア「そうか……な……」
キルアもゴンに相談したことで自信が持ててきたようだ。
やっぱり、気持ちを打ち明けられる相手がいるっていいな…………。
ネテロ「かゆいかゆい、尻がかゆいのう」
いつの間にかネテロがゴン達の後ろに尻を掻きながら近付いていた。
ネテロ「お前さんたちの友達を治療室に送った後、アニタから話は聞いたよ」
これからボールでの試合をすることになることをキルアとゴンは知らない。
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