○ハンター試験編○
□志望理由
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一方、その頃シオンは……
ゴンとアイスとキルアの所まで全力で走っていた。
シオン「はぁ、はぁ……。 やっと追いついた……!」
ゴン 「あっ、シオン!」
ゴンがシオンに気が付き、声を発する。
キルア「飛影たちはどうしたんだよ」
シオン「なんなんだよ! 飛影の奴!!」
アイス「ケンカでもしたの?」
ゴン 「すごく仲良く見えたけど……」
シオン「あいつ時々、何考えてるかよく分かんないんだよなぁ」
シオンは腕を組んで、うなだれたポーズをしていた。
ゴン 「それにしてもよく追いついたね!」
アイス「いつの間にか1番前に来ちゃってたのに」
キルア「そうは言うけど、ペース遅いだろ。こんなんじゃ逆に疲れちゃうよなー」
キルアは余裕そうにこちらを見て言ってきた。
ゴンとアイスは息を切らしている。
普通ならばこの状態が当たり前なのだ。
シオンもペースを取り戻したのか、キルアと同じように余裕な顔ができるようになっていた。
キルア「結構ハンター試験も楽勝かもな。つまんねぇーの」
ゴン 「キルアは何でハンターになりたいの?」
キルア「オレ? 別にハンターになんかなりたくないよ。ものすごい難関だって言われてるから面白そうだと思っただけさ。でも拍子抜けだな」
眉も動かさないで話しをするキルアをゴンが黙って見つめていた。
キルア「アイス! お前の理由は?」
アイス「えっ、わ、私?」
行き成り話を振られたアイスは困惑気味である。
アイス「わたしはね! 動物や人の役に立ちたくて……。動物保護のためにハンターになって仕事をしたいと思ったの」
シオン「アイスの理由、かっこいいね! 応援するよ!」
キルア「…………」
ゴン 「キルア? どうしちゃったの? 黙り込んで」
キルアは心の中で葛藤していた。
アイスの志望理由を聞いて衝撃を受けた。
一番に知り合ったシオンや飛影にも言っていない秘密……別に隠すつもりもないけど。
自分は関係ない人間の命を絶ってきた死神。
しかし、アイスは人間だけでなく、その他の命をも救いたいと言っている。
そんなアイスを見ていると、初めて感じる何かにチクリと心を刺される感覚に襲われた。
何なんだよ……この痛み…………。
アイス「キルア? 大丈夫?」
キルア「えっ、いや、別に、なんでもないぜ!!!」
シオン「自分たち、お邪魔な気がする……」
ゴン 「えっ、なんで?」
ゴンに聞き取れる程度の小さな声でシオンは言った。
ゴンは全然意味が分かっていないようだ。
キルアの恋か……応援しないとな!
なんて考えながらシオンは1人でニヤニヤしていた。
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