○ハンター試験編○

□旅立ちと出会い
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20分程して、シオンはある定食屋の前に立っていた。




シオン「……本当にここで合ってるんだよな?」




自分がたった今持っている紙。


コエンマに渡されたものだ。


それには試験会場の住所が書いてあった。



どう見たって食堂なのに……。


コエンマの奴、間違えたんじゃないだろうな?


でも、ここで突っ立っていても仕方がない。




シオン「まぁ、いいか。確かここで合い言葉を言うんだっけ」




シオンは疑問に思いながらも店の中に入った。




おじちゃん「いらっしぇーい!!!」




店の亭主であろうおじちゃんが声を張り上げた。




おじちゃん「注文は?」


シオン「あぁ、ステーキ定食。弱火でじっくり」


おじちゃん「……あいよ! 奥の部屋に行ってくれ」






シオンは奥にある扉を開けると、


香ばしい焼いた肉のにおいがした。






シオン「うわっ、美味しそう……!」




定食屋の前での疑問などすっかり忘れて、ステーキ定食を美味しそうにかじりついているシオン。






しばらくステーキを堪能していると、


チーンッ!






部屋のどこからかそんな音がした。


どうやら、この部屋自体がエレベーターになって下に降りていたらしい。


ステーキ定食に夢中で全然気づかなかった……。




シオンは頭を掻きながら自分の食べっぷりに呆れていた。




エレベーターから出てみれば、そこはとてつもなく空気が重かった。




シオン「結構殺気が立ってるなぁ」




苦しい戦いを終えた後のシオンにとってはこの空気が少しだけ懐かしく感じた。




ビーンズ「プレートをお受け取りください」




後ろから、少し高めの声がした。




シオン「あっ、どうも」




シオンはペコリと頭を下げる。




ビーンズ「紛失されぬよう気を付け下さい」




そう言うとさっさと別の所に行ってしまった。






144番か。






そんなことを考えているとまたチーンッ!≠ニいう音がした。


そこに目を向けると、


黒いコートを羽織った小さい……と言っちゃあれけど私の親友であり、戦友でもある人物が立っていた。




シオン「うわっ、飛影! 久しぶり!!」


飛影 「最後に会ってから4か月しか経っていないだろう」


シオン「たっく、相変わらずだな飛影も。人間にして見たら4か月は十分久しいっていえるんだよ」




シオンは苦笑した。




ビーンズ「プレートをお受け取りください」




先程声をかけてきたビーンズが同じことを言った。


飛影は無言で受け取る。




ビーンズ「紛失されぬよう気を付け下さい」




そう言って去って行った。




シオン「飛影は145番か。そういえば飛影、こんなところで何してるんだ?」


飛影 「蔵馬が様子を見ていて欲しいと言ってきてな。……実際、退屈していたからな。貴様といるのも悪くない」






《 桑原 「たっくよぉ〜、薄情な奴だな。あのチビはよ!」 》


《 蔵馬 「そうですね」 》


《 クスクス 》


《 桑原 「おい、蔵馬。何で笑ってんだよ」 》


《 蔵馬 「いえ、なんでもないですよ」 》






なるほど……蔵馬のことだ。親しいやつが1人でもいた方が心強いだろうと考えたんだろう。


蔵馬の心遣いが心に沁みた。





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