○ハンター試験編○
□旅立ちと出会い
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シオン「それじゃあ、行ってくるよ!」
今、私たちはザバン市の入り口ゲート前にいる。
蔵馬「頑張れ、応援してるよ」
桑原「死ぬんじゃねぇーぞ! この野郎」
コエンマ「合格した時は連絡するんじゃよ」
シオン「分かった、分かった! って」
この3人は私がハンター試験を受けに行くことになったので、見送りに来てくれたんだ。
ただ一人を除いて……。
桑原「たっくよぉ〜、薄情な奴だな。あのチビはよ!」
蔵馬「そうですね」
と言いながら蔵馬はクスクスと小さく笑っている。
桑原「おい、蔵馬。何笑ってんだよ」
蔵馬「いえ、なんでもないですよ」
そういえば、なぜ私がハンター試験を受けようとしてるのか言ってなかったな。
コエンマが今まで消息が掴めなかった私の兄の情報を得たらしい。
何処にいるかまでは突き止められなかったが、生きていることが分かっただけでも嬉しかった。
足取りを掴むため、入国禁止となっているエリアまで足を運べるようにハンターライセンスを手に入れようとしているんだ。
兄であるライゼン≠ノ会うために……。
シオン「まぁ、あいつの性格は分かってるつもりだから気にしてないよ」
コエンマ「シオン! 早くせんと時間内に着かんぞ」
シオン「そうだね。じゃあ行くよ」
コエンマ「ちょっと待て!! 1つ言い忘れておったわい」
シオンは転けそうになった。
シオン「さっさと行けって言っておいて止めないでよ」
コエンマ「出来る限り妖怪以外に霊力は使うでないぞ!」
シオン「分かったよ」
霊力を使わずに何も音沙汰もなく終わってくれるのが一番なんじゃがな≠ニ愚痴をこぼしているコエンマ。
そして別れ際の会話も終わりを迎え、歩きながら後ろを振り向いたシオンは3人に手を振った。
だいぶ入り口から離れてから、また振り返って見ると3人はパッ!≠ニ消えてしまった。
おそらく霊界を経由して各自、自分の家に帰ったのだろう。
血が空気に触れたような暗い赤みがかった髪が、ザバン市の風によって空を舞っていた。
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