○ハンター試験編○
□血濡れの疑惑
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レオリオ「どうなってんだ、こりゃ…………」
その場にいる誰もが理解に苦しんでいた。
イアン「な、なんなのよっ! それ!!」
シオン「? なんのこと?」
シオンはキョトンとした顔を右に傾げた。
飛影 「眼だ。また赤くなっている。気をつけろと言われているだろう」
シオン「…………あっ、ごめんごめん。楽しくって気が緩んじゃったよ。
でも、なっちゃったモノはしょうがないよ。しばらくは元に戻らないし」
シオンはそう言うと、苦笑いをしながら頭をかいていた。
クラピカ「あれは…………どういうことなんだ!? 確かにクルタ族は私以外残っていないはずだ」
クラピカは混乱したように真っ赤な眼を見開いていた。
飛影 「だいぶ前にアイツが言っていた。クルタ族とかいう民族の血を引いているとな」
レオリオ「ってことはアイツも戦闘力が上がって強くなるのか!」
飛影 「いや、仲間の調べによると、純血ではないシオンは眼の色が変わるだけでそれ以外の変化は起こらないらしい」
クラピカ「!? そんなはず……」
キルア「シオンが動き出したぜ」
そんなはずはない≠ニ言おうとしたが、キルアによって遮られてしまった。
シオン「それよりさ、こんなことで動揺して隙をつくるなんて…………つまらないなぁ」
それはまるで悪魔のような囁き。
シオンはイアンに言い放った。
そして、またしてもイアンの正面に近づくと、ひざを使って彼女の腹部に一撃を入れた。
イアン「うっ…………」
絞り出すようなうめき声をあげると、そのまま前のめりで倒れていた。
シオンは自分の身体に巻き付いている糸が緩んだことに気づくと、それを取り除く。
そして、呑気な顔で彼女の肩を軽く揺すりだした。
キルア「あの女、完全に伸びてるな」
そうして横にある電子モニターが不公平なしにシオン達の勝利を知らせた。
レオリオ「やったぜ!! これで4勝だ!」
シオン「やったよー! これでキルアが1勝すれば次に進めるよ!」
キルア「オレにプレッシャーかけんなよっ!」
シオンが手を握り締めながらガッツポーズをとり、こちらに帰ってくる中、キルアは呆れたようにうなだれていた。
トンパ「てか、シオンの奴、あんな血塗れでよく笑ってられるな。オレなら絶対無理だぜ…………」
トンパは少し引いているようだ。
シオンはみんなの元へたどり着くと、壁に背を預けるようにして座り込んだ。
ゴン 「シオン大丈夫?」
シオン「なんとかね。……ふぅ、疲れたぁ。なんだか少しだるい」
飛影「血の出し過ぎだ」
クラピカ「…………シオン」
レオリオ「クラピカ。聞きたいことはあるかもしれねぇが、ここをクリア出来てからにしようぜ」
知りたい。
お前は……一体何者なんだ…………?
クラピカは神妙な面持ちでシオンを見つめていた。
聞きたいことは山ほどある。
しかし、口から洩れそうになった言葉は、レオリオの静止の声によって飲み込まれてしまった。
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