Rozenmaden-ifの世界

□怖い夢
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それは私を未完成のまま、お父様が私を置き去りにしてどこかへと消えてしまう夢。

「……さま!! お父様…!!! おいていかないで!! 私を…私をお捨てにならないで!!! 待って…!! お父様ああああああああああ!!!!」

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ガチャ!! 「っはぁはぁ」
窓から月明かりが照らす深い夜。他のドール達も寝静まっている中、水銀燈は一人飛び起きた。
「夢…?」頬には自然と涙がつたっている。 そのまままた寝ることが出来ず、気づいたら足が動いていた。
「こんな時間で起きていらっしゃるかもわからないのに…」 そうは思いながらも駆け出した足は止まらなかった。 すると作業場の部屋からかすかな光がもれていた。

逸る鼓動を静め、ノックをした。

「コンコン」

「…誰だ?」

ギィー「失礼します…」
中に入るとそこには、机に向かって作業をしているローゼン『お父様』の姿があった。 その姿を見て水銀燈ほっとは胸を撫で下ろした。

「…水銀燈か、こんな時間にどうしたんだ、眠れないのかい?」

「…はい、少し…怖い夢を見てしまって…」 すると少し考えてローゼンは作業していた手を止め、イスから立ち上がり水銀燈に寄り、膝を折って言った。
「今日は一緒に寝ようか」 優しくそうゆうと水銀燈を抱き抱えて照明を切り、ローゼンは寝室へと向かった。

ー寝室へと着くと水銀燈を丁寧にベッドへ寝せてローゼンも作業着から寝間着に着替え、水銀燈の横で水銀燈を見るように身体を寝かせた。

「ところで水銀燈、どんな怖い夢を見たんだい?」

「……お父様が…私をおいてどこかへと消えてしまう夢です…」

「そうか…それは怖かっただろう、でも水銀燈。 それは夢だ。 私はここにいる」そう言いながら水銀燈の髪を柔らかく撫でた。

「…はい。お父様!」水銀燈は微笑みながらそのままスゥと眠りについた。

朝、日が出初めたころ、目覚めるとそこにはローゼンの姿はなかった。 水銀燈はハッ!として家中探し回った。 すると作業場のドアが少し開いており、隙間から覗きこむともうこんな時間から机に向かって作業をしているお父様の背中が見えた。

水銀燈はほっとし、そのまま自分のバックが置いてある、みんなが寝ている部屋へ戻った。

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