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□《第五色》
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「フフフ…ついに出来たぞ」
「室長、何スかそのムダにごっついロボは」
不気味なコムイの笑い声と共に物凄い機械音が科学班内に響いた。リーバーはそれを見上げてどこと無く嫌な予感が走る。
「だからコムリンだってば」
「…兄さん」
「え?何?リナリー」
コムイの得意気な回答の後ろから聞こえた小さなリナリーの声。そちらを見ると巨大なロボットがリナリーからコムイに渡す筈だったコーヒーを取り上げていた。
「コムリンって…コーヒー飲めるの?」
「…え?」
――ちこーん。
*****
「だいぶ遅くなっちゃいましたね」
『ええ。疲れたしすっごく眠いわ…』
外は雷と豪雨で荒れている。そんな真夜中に任務を終えたアレン、愛美、トマを乗せた小船は地下水路へ到着し無事教団へと帰還した。
「回収したイノセンスは どうすればいいのかな」
『科学班の人なら誰か起きてるんじゃないかしら。ホラ、リーバー班長と…か…』
「?どうしたんです愛美」
突然愛美が言葉を切って目を真ん丸くさせながらアレンの足元を見た。それを不審に思ったアレンもそちらに目をやれば彼も愛美と同じく硬直する。
『「リナリー!?」』
二人が声を揃えて叫んだのは無理も無い。アレンの足元にゴロンと転がったのは意識を失ったリナリーだったからだ。すると船着き場の階段の上の方から声をかけられる。
「も、戻ったかアレン…愛美…」
そこには体中傷だらけのリーバーが息荒く立っていた。安全な筈の教団内で一体何があったのだろうか。
『どうしたの!?リーバー班長!何があっ…』
「に、逃げろ…コムリンが来る…」
「は?」
聞いたことない名前を言われても今教団で何が起こっているのかすら把握出来ない二人にとってこの状況はあまりにも危険過ぎた。ドスドス!と凄い音を立てて地を揺らしながら何かが此方に近付いてくるのが分かる。
『!? 一体何なの!』
愛美がそう叫んだのと同時に船着き場の入り口ゲート辺りの壁がぶち壊されてそこから何かが現れる。
「来たぞ」
『な、なにこれ!』
「ロボット!?」
なんと壁をぶち破って現れたのはこれまたどでかい大型のロボットだった。アレンと愛美がソレを見て腰を抜かしていると二人の姿を捉えたコムリンが何やら解析を始める。
[発…見!]
『「!」』
[リナリー・リー。アレン・ウォーカー。南 愛美。エクソシスト三名 発見]
『…へっ?』
「逃げろアレン!愛美!こいつはエクソシストを狙ってる!」
すると解析を終えたコムリンはドスドスと激しく巨体を揺らしながらアレンと愛美に向かって走ってきたのだ。
[手術ダー!]
『ひいっ!』
帰還したばかりなのに落ち着く間もなく逃走劇が始まった。逃げる愛美達の後を轟音を立てながら追い掛け回すコムリン。その凄まじさに流石の愛美も身震いがしていた。
『キャー!何なのコレ!追ってくる!追ってくる!!』
「リーバーさん!ワケがわかりません!」
逃げながらも今の状況を必死に把握しようとしているアレンだが冷静さが全く見られない程余裕が無かった。
「ウム、あれはだな!コムイ室長が造った万能ロボ【コムリン】つって…」
『これのどこが"万能"なのよー!!』
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