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□WHITE DAY 企画
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「愛美、俺と付き合え」
『は?』
半ば強制的な彼の告白から始まった交際。面と向かって話した事があまり無かった私に彼は"付き合え"。そう一言言ったのだ。
私も勿論彼に憧れと好意を抱いていたのだから願ってもない幸せだったのだ、が…。
彼には一つ 大きな問題があった。
『ちょっと、なにすんのよ!』
「はっ。こんなのも出来ないのかよ チビ」
『ムキーッ!』
元々アレンやラビみたいに表向きな優しさは期待してなかったけど(寧ろあったら気味が悪い)それなりに可愛がってもらえるだろうと思っていた。しかし少し考えが甘かったかもしれない。
『ねぇ、報告書書くの手伝ってよー』
「1人でやってろ」
『ユウ 暇してるじゃん』
「してない」
そう言いながら私のベッドに転がって開いた本から目を離さない。どう見たって読書してるじゃん!
『もーやだっ、後で書く!休憩ー!』
そんな彼の姿にやる気が消失したのか、愛美は握っていたペンを放って そのまま部屋に備え付けてあるソファーに ぼふん、と転がり込んだ。
『ねー、ユウ』
「…」
『本 楽しい?』
「さぁな」
『…私より本がいいの?』
「は?」
普通に会話していた神田の声が固まった。愛美は不意に出てしまった言葉に 少ししてからしまった、と後悔する。
「こんなもんに嫉妬すんなよ」
『ち、違うもん!』
起き上がって此方に移動してきた神田はニヤニヤしながら愛美を見る。悔しいけれど女の私よりも綺麗な顔立ちで。
でもここで目を逸らすと何時もみたいにイジられるのがオチだから負けじと見つめ返す。すると神田は強気な笑みを浮かべて愛美の顎を掴んだ。
「馬鹿、そんな見んじゃねェよ。キスしたくなるだろ」
『へっ!…ちょっ、』
「"奪われたい"って顔してるぜ?」
『嘘っ!思ってないよ!』
「愛美の"眼"が俺にそう訴えてる」
彼に真面目にそんな事を囁かれて、ソレを許さない女が居るだろうか。居るならば是非ともお目にかかりたいものだ。
『…ユウは ド級のSね』
「まさか今まで気付かなかったワケじゃねぇよな?」
『出来れば気付きたくなかったわ』
「ハッ。さっさと現実を理解するんだな」
『私何でこんな人が好きなんだろう…』
「今更後悔したって遅ェんだよ。文句があるなら聞いてやるぜ?」
『…何もないです』
こうなるのは彼が告白してきた瞬間から分かっていた事なのかもしれない。
窒息するまでキスして
(…)
(お、おい愛美っ!?)
‡happy whiteday☆