キリ番

□御堂一哉がただの男になる時
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『なぁに?休みの日の朝から大分テンション上がってるね?』

眠たそうに目を擦りながら瀬伊がむぎに問いかけた。
『今晩のメニューは何がいいかなと思って・・・』
『えっ?今から考えているわけ?』
『うん。だってその前に買い物に行かなきゃいけないから・・・』
『はぁ?そうだね・・・???』

瀬伊は疑問符を浮かべながら席に着いた。
どうも理解に苦しむ。
『ねぇ松川さん。今日って何の日?』
『さぁ?一哉の誕生日はとっくに過ぎてるし・・』
先に席に着いていた依織も首を捻った。
『春だからただ単に浮かれているんじゃねぇか』
麻生がトーストを齧りながら会話に加わった。

『羽倉って相変わらずの馬鹿だね。羽倉じゃないんだから
 そんな訳ないでしょっ』
『何だと一宮!もう一回言ってみろ!』
『もうやだな。聞こえなかった?羽倉って馬鹿じゃないのって言ったんだよ』
『てめぇ何度も何度も馬鹿だ馬鹿だって言いやがって!!』
『だって羽倉が聞きなおしたんじゃない?
 やだなぁ・・・馬鹿の上にボケまで加わったの?』
『一宮!てめぇいい気になりやがってベラベラと・・・』

依織が口を開きかけたときに 先程からテンションの高いむぎの
声が聞こえてきた。

『おはよう。一哉くーん』
『ああ。今からそんなにはしゃいでたら身が持たないぜ』
『大丈夫だよ』
『まぁ お前の場合 頭を使わない分体力は温存できるだろうからな・・・』
『ひっどーい!それじゃぁまるであたしが馬鹿みたいじゃない!』
『そのつもりで言ったんだが・・・』
『一哉君!!』

『そっちでもこっちでも朝からいい加減にしなさい!!』



依織の一喝で一瞬シーンとするダイニングとキッチン・・・。


『ほーら。羽倉の所為で怒られちゃった・・・』
『何で俺の所為なんだよ!』

『一哉君があたしのこと馬鹿だなんて言うから・・・』
『俺が悪いとでも?俺はここの家主だ。
 俺にいちいち突っかかってくるお前が悪い!』

マフィンを口にしながら依織は溜息を吐いた。
『仲が悪いよりは・・・いいとするしかないね・・』
再び騒ぎ出す2組の間で 大人しくブランチを終えた。
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