キリ番

□甘えてるのはどっち
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AM2:00を過ぎた頃・・・
仕事をしている手を止めてカーテンを開ける。
月の光が木々を青白く照らしている。
疲れた身体をそろそろ休ませよう・・・。
シーンを静まり返った部屋の中 重い身体で背伸びをする。
力なくドアをノックする音がする。

こんな時間に尋ねてくる人物など1人しかいない。
フーッと溜息を吐き『入れ』と一言だけ告げた。

カチャっとドアが開き涙目のむぎが抱き付いてくる。
甘えた声・潤んだ瞳・シャンプーの香・・・
どれほどそれが一哉を惑わすのか本人は全く気付いていない。
『どうした?』
『真っ暗な森の中に迷い込んじゃって・・・
 走っても走っても抜け出せなくて怖くって』
再び一哉は溜息を吐く・・・。

『でね。起きたら心臓はバクバクいってるし
 一哉君はいないし・・・おまけにあたしの部屋にいるし・・・』
『ばーか』
『へっ?』
不思議な顔でむぎが一哉を見上げた。
『お前が俺に甘えないって公言したんだろう・・・』
不思議な顔が行き成りハっとした顔になる。
『そうだった!忘れてた』
パっと一哉から離れると踵を返そうとした。
『おい!何だよ』
そうはさせまいと一哉がむぎの腕を掴んだ。
『だって・・・あんなに大見得切ったのに・・・』
『ばーか。内緒にしておいてやるよ』
『ホント?ばれない?』
『俺とお前が黙っていれば良い事じゃないのか?』
『そっか。一哉君って頭いいね!』

呆れ顔の一哉と妙に納得しにっこりと微笑むむぎ・・・。
『やっぱり此処が1番いい・・・』
一哉の腕の中に再び戻ると 胸に頬を寄せてむぎが甘える。

『一宮のいう事にいちいちムキになるからだろうが・・ばーか』
『だって瀬伊君があんな意地悪言うからつい・・』
『マトモに相手にして 直ぐムキに成るお前が悪い!』
『だってぇー・・・』
『だってはもういい!それより・・・』
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