キリ番

□淋しさの後にくるもの
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帰ろうとした時に担任に呼ばれた。
何?何!!テストが赤点だったとか・・・
何かヘマしたとか・・・
ドキドキしながら職員室に向う・・・。

『はっ?』
『じゃ 明日からですよ鈴原さん。忘れないように・・・・』

そう・・・
これが一哉君の計画の始まりだったなんて この時は全く気付きもしなかった!

田園調布の御堂家・・・
もう今では一哉君とあたしのふたりだけ・・・。
恋人であり雇い主である一哉君との生活・・・。
まるで もう結婚しているみたいな・・・
時々そんなことを思うけど お飯事みたいな考えだって打ち消している。
だって相手は あの御堂一哉なんだから・・・。

2年前に一哉君は祥慶を卒業し今は 会社と大学の両天秤・・・
学生と仕事の両立って事では あたしがこの家に来た頃と何も変わっていない。
一哉君と一緒に卒業を迎えた依織くんは 実家の近くのマンションに住み
歌舞伎の世界に戻っていった・・・。
去年 麻生君と瀬伊君も卒業と同時に此処を出て行った・・・。

あたしは・・・
卒業したら・・・此処を出て実家に戻るしかない。

今まで深く考えた事も無かったが 全部一哉君におんぶに抱っこの生活なんだ。
祥慶に編入できたのも一哉君が後見人になってくれたから・・・
学費だってだしてくれて 家政婦として雇ってくれてお小遣いだってある。
お姉ちゃんも探してくれて・・・。
両親が死んでから一哉君と出逢ったけど 
両親の代わりも一哉君がしてくれている気がする。

卒業したら・・・
仕事を見つけて自立しなきゃいけない!
一哉君だって大学を卒業したら アメリカに行くのだろうし・・・。
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