キリ番

□Sweet morning
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ふと寒さで目を覚ました・・・。
気がつけば すっぽりと頭から布団を被っている。
エアコンをつけたまま寝たはずなのに・・・。
顔を布団から出せば ヒンヤリとした空気が鼻から入り
鼻の奥がキーンと痛い・・・。
思わずもう1度布団を被る。

起きるにはまだ早いのだろう・・・。
たぶん外から差し込む光の加減では 陽が出たばかり・・・・。
意を決して もう1度片手を布団から出す。
リモコンは 何処に行ったのか?
ベットサイドをポンポンと叩きながら 暖かくなる源を探る・・・。

『何処にあるのよ!!』
思わず小さな声になる。
もう限界・・・肩まで出した手をもう1度布団の中に収める・・・。

冷えた手をもう片方の掌で包み ハーァっと息を吹きかける。
自分の身体を両手で抱きしめ布団の中で丸くなる・・・。

瞳をもう1度閉じるが 何かを思いついたのかもう1度開ける。
ニコっと微笑むと モゾモゾと隣に動き出す・・・。
そっと逞しい腕に自分の両腕を絡ませ 頬を近づける・・・。
《やっぱり・・あったかい・・・》
心の中で自分の思った事が間違いではないと確信しながら
再度瞳を閉じようとした。

『きゃっ!!』
『冷たいな・・・大丈夫か?』
『ごめんなさい・・・起こしちゃいました?』
『いや・・大丈夫だ。まだ早いから寝てていいぞ』
そう言いながら 望美の身体を長い逞しい腕が包み込む・・・。
『あったかい・・・』
『モゾモゾ動いてないで 最初からこうしていれば良かったんじゃないのか』
『えっ?九郎さん知っていたんですか?』
『何時俺のことを思いだして 抱きついてくるかと思ってな!』
『もうっ!』

望美は赤い顔をしながら 九郎を見上げれば
チュっと九郎が額に唇を落とす・・・。

『リモコンを探していたんですよ』
『そんな機械で温まるより 昔のように人肌で温まった方が俺は好きだな』
『はっ?』

もしかして・・・
エアコンを消してリモコンを隠したのは この男かもしれない!
望美の脳裏をそんな考えが過った・・・。
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