キリ番

□溜息の素
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『なぁ一宮・・・ここは俺の家だったよな?』
『なぁ〜に?行き成り・・・。でも そう聞きたくなる気持ちも解るよ』

リビングでの男2人の会話である・・・。
ドタドタと足音がしたかと思うと もう1人の住人が現れる。
『なぁ〜んか腹減んねぇ?』
2人は呆れた顔をする。
『キッチンに行って鈴原に言うんだな』
『羽倉が言えるんならね』

麻生は不思議な顔をしながらキッチンに向かうが直ぐ戻ってくる。
『ゲッ!何なんだよ・・あれ!』
『ねっ!腹が減ったなんて下品な事 とても言えないでしょ』
『・・・・』

『何か新婚家庭に俺ら居候してる気分になんねぇか?』
『そうだな・・・』
『ねぇ一哉いつまでこの生活が続くの?』
『そりゃぁ・・松川さんと俺の卒業するまでに決まっている』
『なんだかなぁ・・・長いんだか短いんだかもわかんねぇな』

その麻生の直ぐ戻ってきたキッチンでは 依織とむぎが額をつき合わせている。
『ねぇ・・これはどう?』
『そうだねぇイマイチかな』
『やっぱりね!』

ふたりで本を挟んで何やら相談事らしい。
『じゃぁこれなんてどう?』
『うーーん。ピンとこないかな』
『そう・・・』
むぎの眉間にだんだん皺が寄ってくる。
それを見た依織はクスリと笑う。
『何?』
『いや・・そんな顔も可愛いなと思ってね・・・』
『もうっ!依織くんったら直ぐ揶揄う!!』
そう言いながらも むぎの顔は真っ赤に染まっていく。
依織は耳元に唇を押し当てると そっと囁く。
『その恥かしがっている顔が見たかった』
『もうっ!ばかぁ!』

クスクスと笑いながらページを捲っていた依織がひとつの写真を指差す。
『これはどうだい?』
『うん!いいかも!』
見つめ合いニッコリと微笑む。
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