Treasure N

□藤原様より
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すんすん。

「ルルーシュ」

すんすん。

「ね、ルルーシュ」

すんすん。

「ルルーシュってば…」

呼ぶ声が段々と情けないものになってきて、ルルーシュは不機嫌そうに顔を上げる。

「なんだ」
「なんだ、じゃないよ。もう充分じゃないの?」
「いや、全然」

即答して、また顔を埋めるルルーシュにスザクは溜息を吐いた。

時刻は夕刻。場所はルルーシュの部屋、ベッドの上。
彼らは今、上半身の衣服を全て剥ぎ取られたスザクに覆い被さった、此方は制服をきっちり着込んだルルーシュが、彼の脇の下に顔を埋めるという…なんとも奇妙な格好をしている。
それもこれも、ルルーシュのとんでもないカミングアウトから始まったのだが。

(ちょっと擽ったいんだよなあ…)

鼻先が脇の下に触れる感覚と、ルルーシュの黒髪が腕に触れる感覚が擽ったくて堪らない。
出来れば早く解放して貰いたいなと、ちらりとルルーシュを伺うが、彼はうっとりとした表情でスザクの脇の下の匂いを嗅いでいる。

(うわ…)

その表情は存外に淫靡なもので、スザクの雄をうっかり直撃してしまった。
しかしまあ、ルルーシュはスザクの上に跨がっているので。

「…スザク」
「なに?」
「なに勃たせてるんだ」
「あ、はは…」

隠す事も出来ずにバレてしまい、笑って誤魔化そうにもスザクを見下ろすルルーシュの瞳がとてつもなく冷ややかで、乾いた笑いになってしまった。

「言っておくが今日はしないからな。俺はお前の脇の匂いが嗅げればそれで充分だ」
「ええっ!なにそれ!?」
「うるさい黙れ。セックスの事しか頭にない変態め」

18歳の男子なのだから、恋人の色香に欲情するのはむしろ健康な証拠だとスザクは思う。
──否、それよりも。

(変態は君の方じゃないか!!)

怒らせると後が恐いので声には出せないが、スザクは心で叫んだ。

「…ふん、まあいい」
「え?」

その言葉に少し期待した声を上げると、直ぐさま「勘違いするな馬鹿」と返される。

「今日はもういいって意味だ」
「満足した?」
「ああ…また嗅げばいいし」

満足そうに笑むルルーシュに、スザクは「あ、そう…」とひきつった笑みを浮かべるしかない。
上から降りてベッドサイドに立つルルーシュの長い脚が目に入って、スザクはごくりと生唾を飲み込んだ。

「…あのさ、ルルーシュ」
「なんだ」
「僕もひとつ、カミングアウトしてもいいかな?」
「は──ほわあっ!?」

訊き返そうとしたルルーシュは手首を掴まれ、そのままベッドに勢い良く倒された。
気付けばルルーシュの上にスザクが覆い被さっていて、先程の体勢と逆転している。

「おい、スザク!!」
「実は僕もフェチなんだ」
「……は?」

固まるルルーシュの隙を突いて、スザクは彼のズボンのベルトを引き抜いた。
途端に暴れるルルーシュの動きを巧みに利用して、ズボンも足首まで下ろす。

「おまっ…!フェチの話をしてるんじゃないのか!?」
「フェチだよ。脚フェチ」
「脚だと!?」
「うん、脚」

うっとりと頬を寄せるスザクの吐息が太腿に掛かって、気持ち悪い。

「ルルーシュの脚、凄く綺麗だから…ずっとこうしてみたかったんだ」
「や、やめろ!馬鹿が!!」

太腿の内側を頬ずりされて、ぞわわ、と肌が粟立つ。

(スザクが真の変態だったとは!!)

そういえばセックスの最中にしつこく脚を撫でられてたな…なんてルルーシュは今更思い出す。

「無駄な肉も付いてないし、滑々だし…こういうの、脚線美っていうんだよね」
「それは女性に使うこと、ば‥ッ」

丹念に撫でてくるその感覚に、ルルーシュの息が上がってくる。
この触れ方は、まるで。

「スザクっ‥ん」

すりすり。

「スザク…!」

すりすり。

「っ、スザク!!」

──ばこっ!!

「痛ったあ!」

思い切り振り下ろした拳が、スザクの頭に見事にヒットする。
顔を上げたスザクから逃れるように、ルルーシュは後ずさった。

「いい加減にしろ!この変態が!!」

真っ赤になって怒鳴るルルーシュに、スザクはむっとした表情をしたかと思うと──直ぐに不敵な笑みに切り換わる。

「でもさ、ルルーシュ?」
「うわっ!」
「君だって勃ってるだろ?」

スザクはルルーシュの足首を掴んで引き寄せ、膨らみ始めた前に触れる。
不意打ちの感覚にびくりと身体が震えて、鼻から声が抜けるのを止められなかった。

「じゃあルルーシュ、続けようか」
「っお前…後で覚えてろよ…!」

睨み付けてくるルルーシュにスザクは笑いながらはいはいと相槌を打って、そっと額に口付けた。








(まさかお前が脚フェチだったなんてな…)
(それはちょっと違うよ)
(は?お前が自分で言ったんだろうが)
(正確にはルルーシュの脚フェチ?)
(…やっぱり変態だ、お前)
(君ほどじゃないよ)










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