Treasure N

□玲那様より
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パチン。パチン。

音が響く。



ふわふわ



びゅうびゅうと冷たい風。
それとは関係のないところで転寝を決め込むアーサー。
その隣にはナナリーがいて、その前には騎士のようにナナリーの手を取るルルーシュ。

パチン。パチン。
響く音。

「ほら、良いよ。ナナリー。」

最後に爪やすりで綺麗に整えて、ルルーシュはナナリーの手を離した。

「ありがとうございます。」

ニコリと笑うナナリーを見ると自然、ふっと笑顔になれる。


ナナリーの爪の手入れ。
何ていうか…器用な彼らしいけれど。


「ルルーシュは相変わらずナナリー一筋だね。」

ぼんやりと眺めていた感想を告げるとルルーシュが笑った。

別に、嫉妬とかそういうのじゃない。
…と思う。

「スザクもやってやろうか?」

そんなつもりじゃなかったからそう言われた時は驚いた。

「そんな、僕は良いよ!」

「良いからほら、見せてみろって。」

「でも僕いつも切ってるし…」

言い終わらないうちに手を取られた。
僕とは違う、白くて柔らかくて細い指に。

同じ男なのにどうしてこうも違うのかいつも不思議に思う。
民族の違いとかそういうものじゃない気がする。

「ね。」

僕の手を見たルルーシュが眉を寄せる。
なんだか申し訳ない。

「…堅い。」

「うん。」

「荒れてる。」

「だね。」

俯くと、ルルーシュは僕の手を両手で包んだ。
まるで大切なものを守るかのように。
滑らかな肌がくすぐったくて、なんだか恥ずかしい。

そのまま僕の手はルルーシュの胸の前に持っていかれた。

「もっと…」
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