Short Story
□夜の公園(マリみて)
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辺りが殆ど静まり返った夜の10時過ぎ──遥は日課のロードワークをしていた。
小刻みに息を吐きながら走っていると何かに気付き、いつも通る公園の前で立ち止まった。
公園内にあるベンチに見知った人物が座っていたからだ。
遥はフードを取ると、公園に足を踏み入れると、その人物の元へ歩いて行き声を掛けた。
遥「…こんばんは、江利子さま」
その声に座っていた人物──鳥居 江利子が顔を上げた。
江利子「遥ちゃん…?」
遥「何してるんですか?こんな時間に、こんな所で」
江利子「遥ちゃんこそ、どうしたの?アルバイトの帰り?」
遥「違います。私は日課のロードワークをしてました。そしたら、江利子さまが見えたんで…」
江利子「そう……」
呟く様に言う江利子に遥は小さく息を吐いて、近くにある自販機に向かい温かいお茶を二つ買い、一つを江利子に渡した。
遥「どうぞ」
江利子「有り難う…」
江利子が受取ってから、遥は隣りに座った。
缶のプルタブを空けて、お茶を飲む。
ふと横を見ると、江利子は両手で缶を握り締めて下を向いている。
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