マリア様がみてる
□第5話「秋の絆」
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あれから、遥は手伝いに来るようになった。
といっても、自らお茶会などに参加するわけでもなく、本当に手伝いが欲しい時に愛理とるりが呼びにいけば応じるという具合で、自ら山百合会と一線を画しているようでもあった。
季節は秋──
今の山百合会は体育祭や学園祭に向けて、準備をしている。
(放課後・・・)
帰ろうと聖が廊下を歩いていると、窓の外に遥が見えた。
遥は自分の腕時計を見ながら、珍しく走っている。
やがて、とある場所に着いた。そこは保育園だった。
遥は呼吸を整えると、敷地内に足を踏み入れた。
そして、ある組の部屋にいる保母さんに声をかける。
遥「…すみません、榎本です」
保母「……あら遥ちゃん。…ちょっと待っててね」
そう言って保母さんは、部屋の奥へと向かった。
暫くして、黒髪の小さな男の子がやって来た。
?「はるかおねぇちゃ〜ん!」
男の子は嬉しそうに走って来ると、遥に思い切り抱きついた。
遥「…ぅわっ。危ないだろ、大輝」
そう言って男の子を優しく抱き留めると、今度はその後ろからパタパタと茶色い髪の男の子がやって来た。
遥「……お、翼。おいで」
遥が両手を広げると翼と呼ばれた男の子は、嬉しそうな顔で遥の胸に飛び込んだ。
遥は翼を優しく抱き上げた。
この二人の男の子は遥の弟で、仕事が忙しい父親と病気で入院している母親に代わり、兄妹みんなで交代ずつで面倒を見ている。
遥「ちゃんといい子にしてたか?」
大輝「うん!」
ニッコリ笑って返事をする大輝に微笑み頭を撫でると、保母さんに別れを告げ保育園を後にした。
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