夢のかけらは銀色

□小さな、影
1ページ/1ページ










娘っ子を始めてみたのは、喋ると白い息がでる、あの季節だった。




月が雲に隠れた。

夜中、いつものように橋の上でボーとしていたら、不意に橋の下から河川敷を歩く音が聞こえてきた。




‥こんな夜中に誰だ。

幕府の犬かァ?




俺は刀に手をかけながら、橋の下に降りていった。





‥‥誰も居ない‥?


とたん、後ろからじゃり―‥という音が聞こえた。



反射的に俺は音に向かって剣を抜いた。




「ひっ‥‥」


「誰だァ、てめェ‥幕府の犬かァ?」



「ばくふ‥いぬ?あたしは犬ぢゃない‥」



怯えた声でそう云った、小さな、小さな影。






雲が月から離れた。


その時、俺の期待を裏切った





さな、

(たかすぎ‥しんすけ?)

(なんでこんな‥‥)









月明かりに照らされて姿を表したのは


ボロい服を着て


傷だらけの





幼女だった









 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ