novel
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「暑いな」
そこから動けない俺は、ひとりごとを言いながらもらったソーダ水をひとくち、瓶を傾けて流し込んだ。
先程まではあのひとの手が、指が、口唇が触れていた、と、敢えて考えないのは俺の”うそつき”癖からだ。
すでに炭酸は抜けて、ぬるくなってしまったそれを飲み干すと、カラン、と音をたてるガラス玉が、あのひとの瞳が濡れていたことを教えてくれた。
どうしようもなくうそつきなあのひとの、ほんとうのことをひとつ、見つけた気がした。
END
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