novel

□Cold day in the sun
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私たちは、たくさんの大切なものを抱えていて、
こぼれていってしまうそれを迷わず拾えるほど大人ではなかったし、



いちばん大切なものだけを取っておいて、ほかは要らない、というほど、子供でもなかった。








ついでに言えば、
そのすべてと闘っていけるほどの強さもなかった。










ふと、私は思い出したように荷物の中を探る。



小さな箱と、その中にあるものがこれからの私を、ほかのすべてのものと繋いでくれる。



縛られるのなんて、柄じゃない。









冷たい金属の感触を思い浮かべながら、私は小箱を元に戻す。



脚は自然と前に進む。



何も話さなかった私に
『おまえが決めたことなら』
と言うシカマルの声を、
頭の隅の方に追いやって、
必要なら鍵もかけておこうと思う。









太陽はいつもより明るい光を放っていたけれど、

とても寒い日の、ことだった。










end
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