novel
□Cold day in the sun
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私の孤独は一層深くなる。
たぶん、あのひとが居なくなるから。
それならば、でも、だけど、と何度も考えた結果。
きっと分かってくれているはずだ。
彼の気配を感じられなくなったとき、私の身体から力が抜けて行った。
しっかりしなくては。
自分から手放した。
罪悪感とも、自己嫌悪とも取れる、自分勝手な私への思いと、
いっそ嫌いになってしまいたい彼への思いが、私の脚を動かなくする。
涙が出ないことには、多少驚いた。
やっぱり、とも思ったけれど。
そうして私は、故郷へ戻る。
しばらくは木ノ葉にも来ることはないだろう。
故郷では、結婚という新しい私の存在意義が待っていた。
それは新たに他人と私を繋ぐものになるだろうけれど、私は、ほかのひとのものにはきっとならない。