novel
□Cold day in the sun
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『Cold day in the sun』
もういちど、あのひとの背中を見たいと思った。
だけど、私が振り返ったとき、もし彼もまた、こちらを見ていたとしたら、
私は、もう決めてしまったことを後悔してしまうだろうから。
そしてきっと、揺らいでしまうから。
だから、前を向いたまま、遠くなる気配だけを、
その最後の繋がりを感じていようと思う。
それはもうすでに切れかかっているけれど、この瞬間だけは、何より近くにある。
切れた。
と思えるのはいつになるか分からない。
いつか、ふと彼のことを思い出すときが来るだろう。
そのとき、
(思い出すということは、私の頭に常にあるものじゃないということだから)
もう切れてしまったんだなと実感することができる気がする。