novel

□スピカ
6ページ/7ページ

 








そのひとにしては珍しい、消え入りそうな声と、
冷えた細い身体が、ひどくはかなく頼りなく見えた。



そんなことを言えば、『ばかにしているのか』と怒られてしまいそうだけど。







いつまでも待っていてくれる訳じゃないから。

俺とこのひとは、どうしても別々にしかなれないから。



それをできるだけ強く、深く繋ぐために引き寄せる。









テマリは、さっきよりは幾らかしっかりした声で、言う。






「あたしはここにいるよ」










俺はまだ、
このひとを引き止めてもいいんだという気がした。










END
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ