novel
□スピカ
3ページ/7ページ
俺は、自分のことをばかだと思う。
テマリがこんな風に俺を誘ってくれる度に、安心する。
話があると言われる度に、すごく怖いのに。
怖いのは、俺のふがいなさからだ。
いつか俺は、このひとに必要ではなくなってしまうんだろうと思う。
それがとても、怖い。
とかひとりで勝手にぐちゃぐちゃになっている俺の頭を、
風が吹き抜ける。
というかそれは現実にそうだった。
そこは、
以前、また唐突にテマリが『寄り道しないか』と言い出したとき、まだ木ノ葉の土地勘がないテマリをてきとーに連れ回した結果辿り着いた場所だった。
「たまに、ひとりでも来ることがあるんだよ」
テマリの言葉は、幻みたいに俺の耳にふわりと入った。
風が鳴らす音に似ているそれは、頭の中にじわり、と広がる、軽い痺れのような感覚。