novel
□スピカ
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そして結局”いつものとおり”になる。
「別にいいのに」
テマリは半ば諦めたように言う。
俺がテマリを宿まで送ると言い出したとき、テマリが拒否したとしてもそれに従ったことはなかったから。
「仲間って、誰?」
特に何を意識するでもなく、そう口にした。
テマリは少し驚いたようにこちらを見ると、
「あの2人じゃないよ」
とだけ言う。
”あの2人”とテマリはもう、行動を共にできるような位置に居ないのだろう。
いつか、どこか寂しそうにそう言っていたのを覚えている。
ふと考える。
俺の知らない人と、知らない場所で行動しているテマリのことを。
なんとなく落ち着かないのは、俺が子供だからだろうか。
「シカマル、寄り道しよう」
「え」
突然の提案に、俺は少し戸惑いながら、
「いいけど」
と言った。