novel

□たしかなこと
2ページ/6ページ

 







いつもはなんだか難しい顔ばかりしている彼の、
はじめて見る寝顔は可愛かった。



「かわいい」



特に意識せずに言った言葉に、シカマルは何の反応も示さない。

起きているときなら、
『うれしくねー』とか、『どこが』とかいちいち否定的な態度をとるから、
かなり深く眠っているのが分かる。









私は、木ノ葉に着いてからのことを、思い返していた。








私を出迎えた木ノ葉の忍は、シカマルではなかった。



聞けば、ほかの任務が長引いていて、来られないのだという。



こんなこと、今までなかったから、
私はすぐに万一のことを考える。



いつでも会える訳ではなくて、
(というか、そういう間柄でもなくて)
いつ、お互いの前から消えてしまうかも分からない。



忘れてしまったのだ。



シカマルに会ってから。



思い出せ、と、
私は自分に言い聞かせる。



私だって、人の命をとる。



その代償として、
(と思うことはあまり好きではないが、結局そういうことなんだろう)
私だっていつ命を落とすか分からない。








それは、シカマルだって。







 
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ