novel
□たしかなこと
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いつもはなんだか難しい顔ばかりしている彼の、
はじめて見る寝顔は可愛かった。
「かわいい」
特に意識せずに言った言葉に、シカマルは何の反応も示さない。
起きているときなら、
『うれしくねー』とか、『どこが』とかいちいち否定的な態度をとるから、
かなり深く眠っているのが分かる。
私は、木ノ葉に着いてからのことを、思い返していた。
私を出迎えた木ノ葉の忍は、シカマルではなかった。
聞けば、ほかの任務が長引いていて、来られないのだという。
こんなこと、今までなかったから、
私はすぐに万一のことを考える。
いつでも会える訳ではなくて、
(というか、そういう間柄でもなくて)
いつ、お互いの前から消えてしまうかも分からない。
忘れてしまったのだ。
シカマルに会ってから。
思い出せ、と、
私は自分に言い聞かせる。
私だって、人の命をとる。
その代償として、
(と思うことはあまり好きではないが、結局そういうことなんだろう)
私だっていつ命を落とすか分からない。
それは、シカマルだって。