novel
□illuminate
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こんなに、簡単なことだったなんて。
シカマルは、私に会いに来た、と言い、
私は、それがうれしいと思う。
寂しいという気持ちは、きっとどんな人間であっても捨てることはできないのだろう。
だから寄り添う。
夜、私たちは同じ空を見ていた。
隣に立っているシカマルに、ぐっと引き寄せられる。
「もう・・離さねー」
一瞬、耳を疑ったけれど、
次の瞬間には、何か複雑でくすぐったいような抑え切れない感覚に襲われる。
私はそれを笑ってごまかして、
「らしくない台詞だな」
と言う。
見せたかったんだ、ずっと。
私の生まれ育った場所を。
そこに居る、私を。
シカマルに聞こえるか聞こえないかくらいの、小さな声で、言う。
「私も。離さない」
それは、簡単なようで、難しいようでもあって、
でも、不思議と、
怖いとは思わなかった。
end