novel

□illuminate
4ページ/5ページ

 






こんなに、簡単なことだったなんて。



シカマルは、私に会いに来た、と言い、
私は、それがうれしいと思う。



寂しいという気持ちは、きっとどんな人間であっても捨てることはできないのだろう。



だから寄り添う。



夜、私たちは同じ空を見ていた。

隣に立っているシカマルに、ぐっと引き寄せられる。



「もう・・離さねー」



一瞬、耳を疑ったけれど、
次の瞬間には、何か複雑でくすぐったいような抑え切れない感覚に襲われる。



私はそれを笑ってごまかして、

「らしくない台詞だな」

と言う。







見せたかったんだ、ずっと。

私の生まれ育った場所を。

そこに居る、私を。







シカマルに聞こえるか聞こえないかくらいの、小さな声で、言う。



「私も。離さない」







それは、簡単なようで、難しいようでもあって、

でも、不思議と、
怖いとは思わなかった。










end
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ