novel

□illuminate
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今隣にはカンクロウが居るけれど、何を言ってもきちんとリアクションのできない私に呆れてしまったようだ。



『おまえ、さっきから”うん”とか”ああ”とかしか言わねーじゃん』



と言ったきり、黙ってしまった。



私はというと、テラスの手摺りにつかまったまま、さっきからずっと、ぼんやり空ばかり眺めている。







「なんだ」



じっとこちらを見ているカンクロウに問う。



「なんだじゃねーよ。おまえがそんな感じなのって珍しーじゃん」



「そうか?」



「おいおい・・自覚ねーのかよ」



私がはは、と小さく笑うと、カンクロウは、



「何のせいかは、大体見当つくけどな」



と言う。



私がきょとんとしていると、カンクロウは得意げに、笑った。



「やっぱりそれも自覚なかったんだな。
知らねーのは当人どうしだけじゃん」



「何がだ」



「ま、その内分かるじゃん」



私は、その意味を知っているかもしれないなと思いながら、「その内」と繰り返した。







 
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